高レベル核廃棄物の保存期間は、短縮できるとか

先日、原発から出る高レベル核廃棄物の保管期間の短縮技術の記事を読んだ。高レベル核廃棄物は危険な放射線を放出し、半減期が何万年と言う物質も含んでいる。現代人が責任をもって管理しきれないほどの時間、地層に埋めるだけでは負の遺産と言われても仕方がない。それも他ならぬ我々世代が恩恵を享受しながら、未来の世代につけまわしをしているようで気にかかっていた点だったが。

記事によれば、高レベルの核廃棄物に中性子を当てることで人為的に崩壊を早める技術のようだ。それでも無害化までに数百年かかると言われているが、数万年と数百年では意味が全く違う。数百年であれば、個人の寿命よりずっと長いことには変わりないが、事業として十分管理し続け達成できる期間だ。

例えばバルセロナのサグラダ・ファミリア聖堂の建築は3世紀に渡ることで有名だが、ドイツのケルン大聖堂(工期630年)、イタリアのミラノ大聖堂(579年)など、100年単位で建てられたものは少なくない。建物以外の事業としては、日本には千年以上続く企業が7社もある。人間にとって100年単位というのは、目的を定めてコントロールし続けることが可能な期間といえる。これなら未来の人類に申し送りしても、まあ勘弁して貰えそうだ。電気によって築き上げてきたものも同時に引き渡すのだから。ともあれ、人類が後先考えずに利益だけを貪り、臭いものにフタで済ますほど愚かではないと知って、ちょっと安心した。

2 thoughts on “高レベル核廃棄物の保存期間は、短縮できるとか

  • 9月 6, 2025 at 07:40
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    現在、日本を含む各国で研究されているのが、この「分離変換技術」のようですね。専門的で難しいですが、これは高レベル放射性廃棄物に含まれる長寿命核種に中性子を照射し、より短寿命の核種へと変換することのようで有害度と保管期間を劇的に短縮するというもののようですね。重陽子ビームをリチウム標的に照射して高速中性子を生成し、それを廃棄物に照射することで核変換を促進するとありました。中性子や重陽子によって原子核を分裂させ、安定または短寿命の核種に変える事ができるらしいですね。数万年単位の半減期を持つ核種を、数百年以下にまで短縮できる可能性があると言う点も人生で考えれば遠い未来ですが、地球の未来と比べれば、短い歴史に相当する事も理解できますから、私達の「未来への責任」は、まさにこの技術の核心にあると思います。数百年というスパンであれば、制度的・技術的継承に継続的な管理が可能とも考えられ、「未来への責任」を果たす道が開ける事にもなりそうですね。原発銀座の福井県に育った関係で、夏は隣町の敦賀に列車で海水浴に行くのですが、松原海岸から原発の建物が間近に見え水蒸気漏れなどがある度に不安を感じていました。さらには再稼働や新たに原発建設のニュースもあって、廃棄物処理問題が後回しになっている現状ですが、日久々の快報ですね。

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    • 9月 6, 2025 at 09:07
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      核燃料を石炭に例えれば、発電中は最高温度にしなければいけないので、風(中性子)を送って高温にしますが、温度が下がり始めた燃料は途中で引き出して取り替える必要があります。取り出しても、燃え盛ってることには変わりないので危ないから穴ほって放り込んでおけ、というのが今までの高レベル廃棄物の管理法です。これは取り出した燃えさしを別な場所で小分けにして少しずつ風を送り、早く燃やしきってしまう研究ですね。燃えさし燃料を普通の燃料に混ぜて、発電に使うやり方もあります。ただ、放置しておけば徐々に冷めるものをあえてガンガン燃やすのですから、どこでやるかによっては、反対運動も起こるでしょう。その安全対策を含めた研究だと思います。

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