特番「大人の初心者の、2年間のバイオリン上達記録」

「来訪者が明かしてくれた,バイオリンの秘密」を掲載する予定だったが,紹介したい動画があるので予定変更した.まずはこれを見てほしい.

大人になってからバイオリンを始めたビギナーの、二年間の上達記録として投稿されたもので,一部で話題になっている.多分,もとから才能があったのだろうし,また,私自身がこんな風に上達しつつあるなどとは言えないが,納得できる点がある.特に,早い時期に急速に上手くなったようにみえるが,実際,最初のうちは思ったよりもスムーズに上達するのだ.

2年間でここまでなれたのは,とにかく練習と,良い指導者に会えたということだろう.私は十分な練習時間がとれず,15分から20分程度のことが多いし,なにより独学だ.だから2年後にここまでなれるとは期待してないが,ちょっとでも興味をもった人なら,ちゃんと2年間練習すれば,かなり多くの人がここまでなれるのではないかと思う.動画の投稿者も,それが言いたいはずだ.
2年間というのが大きなポイントである.三日坊主という言葉があるが,途中で挫折する初心者は,けっこう早いうちに諦めてしまうのだと思う.とにかく2年間きちんと練習したが,上達しないので諦めたという人は少ないだろう.動画を見れば,この半分でも弾けるようになれば十分じゃないかと思う人は多いだろう.実際そういう人が始めれば,多分そこまでは行けてしまうのではないかと思う.

激安品で良いかどうかは分からない.だが、この投稿者も2年の間に電子バイオリンと,新しいバイオリンを買っている.この気持は良くわかる.私には激安品で十分だが,良い楽器がほしい気もするし,多分そうなれば一段と上達するような気がする.

次回「来訪者が明かしてくれた,バイオリンの秘密」(1/28 0:01)投稿予定
乞うご期待!

まずはケースを見てみよう

思わぬ来訪者のことはさておき,まずは新しいケースを見てみた.実は届いた直後はけっこう小汚かった.元が手垢なのかなんなのか,ところどころべたついたカビたようなものが付着し,さらにホコリもかぶっていた.そしてちょっと臭かった.手垢まみれのまま,長年納屋か何かに放置されていた,そんな感じの臭いである.ただしこの汚れは,丁寧に拭き取ると全く気にならなくなった.傷なども少なく,程よい古さもあってなかなかの風格である.

曲げ木加工の椅子
曲げ木加工の椅子

特徴的な蓋の曲面は,光沢が出てくると周囲の光を反射して,とりわけ印象的である.余談だが,曲げ木(ベントウッド)と呼ばれるこの手法は,1830年台に,ウィーンの家具職人ミヒャエル・トーネットが開発したもので,ブナなどの柔らかい木材に,スチームをあてて金型で成形している.特に背もたれの部分を曲げた椅子は,ヨーロッパのパブなどで定番となった.日本でも、一度や二度よく見かけたことがあるだろうと思う.
ちなみにブナという木は,狂いが大きいので木材としての用途が無かったが,大量の葉を落として森林の生態系を守り,敷いては海の養分も補給している極めて重要な樹木だ.曲げ木細工の開発で,人間生活にとってさらに身近な木となったのである.

金具類は,すべて別用途のものを転用している.取っ手はタンスの引き出しの引き手,蝶番は飾り箱など用の小さなもの.止め金具はバッグ用だ.真鍮のように見えたが,サビをとった部分は銀色になったので,メッキだとわかった.本来の持ち手ではなくタンスの引き手なので,手が深く入らず,少々持ちにくい.欧米人の大きな手ならさぞかしきつかっただろう.

内張りのベロアは,汚れや破れがほとんどなかった.臭いはあったが,風を通しておいたら気にならなくなった.ケースの中には,古いバイオリンと弓が一本入っていた.弓はけっこう毛が抜けていた.毛を張り替えることもできるらしいが,本格的な奏者になると,毛が抜けるだけでなく,本体の反りがおかしくなるので,半年(?)ほどで取り替えてしまうこともあるらしい.試してみないとわからないが,どうしても使う必要はないようだ.
で,いよいよバイオリンである.表面は多少古くなっているようだがブリッジもあり,弦も4本揃っている.果たしてどんな音が出るか,さっそく弾いてみたわけだが...

次回「来訪者が明かしてくれた,バイオリンの秘密」 (1/25 AM0:01)投稿予定
乞うご期待!

新しいケースと思わぬ来訪者3

古いバイオリンケースには,確かに謎を秘めていた!

さて、およそ1920年代の品だという古いバイオリンケースは,最初は工房から楽器店へ届けるための輸送用の保管ケースだったらしい.coffin(棺桶)型と呼ばれるこのタイプは,もともと金具はなく,バイオリンを入れて蓋と箱を布などで巻いたらしいが,バイオリンが店頭に並ぶと御用済みになり,店の隅にたくさん積まれた.フィドラーはこの木製の運搬ケースに蝶番や止め金具,取っ手などをつけてケースにしたのだそうだ.

新しいケースと思わぬ来訪者
新しいケースと思わぬ来訪者

船便のタイムラグを楽しんだあと,届いたケースというのが、このブログのタイトルになっているもの。もともとcoffinタイプは黒い塗料を塗ってるものが多いが,これは前の持ち主がわざわざペンキを落として,木目を生かしたニス仕上げに作り変えたのだろう.
まぐれ当たりのように落札出来てしまったケースだが,思った以上の状態の良さに満足しつつ,蓋をあけて驚いた.なんと古いバイオリンが入っていたのである.オークションに慣れてなかったため,写真を見て,てっきりケースの説明のために置いてあると思っていたバイオリンは,実は商品の一部だったのである.

まだろくに弾けもしないうちに,なんと2台目のバイオリンが.だが,この思わぬ来訪者のおかげで,面白い出来事に遭遇することになる.

次回「まずはケースを見てみよう」 (1/21 AM0:01)投稿予定
乞うご期待!