<覚書>重力波を初観測2

重力波の観察がなぜこれほど難しかったのか?それは極めて弱い力だから.電気や磁力があるところに電波や磁力線があり,熱のあるところから赤外線が放出されているように,重力があるものは重力波を出しているはずだ.そのことは,昔から予測されていた.だが重力というのは非常に弱い力で,例えば巨大な地球が全身全霊をふりしぼって重力を出しても,人間がぺちゃんこになることもなく,立ったり歩いたり,ジャンプできてしまう程度のパワーしかない.

Gravity
ニュートンもびっくり!

そんな弱い重力から出る波動だから,非常に観測しづらい.しかも観測装置の周囲にはいろいろな物があり,そのすべてが重力を持っている.ましてや大きな地球の上で重力波を観測しようと思っても,ロックコンサート会場で鈴虫の音色を聞き分けるようなことになってしまう.だからどうやって観測したのか,どうしてそれが重力波だとわかるのかは,多分相当難しい内容になるのだろう.
重力波がどんな役に立つかは,計り知れないものがある.それはちょうど人類が初めて赤外線や電波,磁力線を発見したのと同じだけの価値があることは間違いない.宇宙は,かつて誰も想像しなかった新しい姿を見せてくれるだろうし,携帯電話をトイレに落ちる直前で救うことだってできるかもしれないのだ.

<覚書>重力波を初観察

アメリカを中心とした国際研究チームは、11日、宇宙空間にできた「ゆがみ」が波となって伝わる現象、いわゆる「重力波」を初めて直接観測することに成功したと発表した。

中学生の時,「2001年宇宙の旅」が封切りされた.その中で,人類を進化させた謎のモノリスはその後月に移動し,ティコクレーターの地中で強い磁力線を発し続けた.人類が月に到達し,磁力線を感知する技術を持っていれば,その場所を発見できるように.
果たして人類はモノリスを発掘したが,地上に出て最初の太陽光線を浴びた時,それは今度は木星に向けて「重力波」を発射する.人類が重力波を検出できるなら,さらなる進化へ導くために.

TMI from 2001 a space odyssey
TMI from 2001 a space odyssey

この映画は特別な意味を持っていた.というのは,登場する科学者の劇中での年齢が,おおよそ自分の2001年のときの年齢だったから.ということで,2001年が来るのを楽しみにしてた中学生は,実際にその年になってみて非常にがっかりした.巨大な車輪型宇宙ステーションも,旅客機並みに快適で一般人が乗れるスペースシャトルもなかったから.
ところが,意味がわからなかったので期待していなかった重力波が,観測されたのだ.15年遅れだが,宇宙的には大した違いじゃない.この調子で,多少遅くなってもステーションやシャトル、できればモノリスもなんとかなってほしいと思う.

ちなみに続編の「2010年」は,進化をとげた主人公が,米ソの核戦争による人類滅亡の危機を救う話だった.そのストーリーのせいで陳腐な続編扱いされてしまったが,私は,作者が米ソ対立を,21世紀にまで持ち越された上,宇宙の知性が登場しなければ解決しない問題と考えてることに,驚いてしまった.
が,ご存知の通りソビエトは崩壊.核兵器も,実際の使用がかなり制限されるところまでなんとかたどりついた.宇宙の超越した知性の手助けなしに,愚かな人類だけでやったにしてはまあまあだろう.人間も捨てたものじゃないし,長生きはするものだと思う.

なんでも移調

ネットにはヴァイオリン演奏だけでもさまざまな動画があり,「sheet music」と曲名を検索すると,大抵の曲の譜面が見つかる.ただしそのままだと弾きづらい事が多いので,AやDに移調してしまおう.すると随所にAやD,つまり2弦や3弦の開放弦が表れるようになる.指使いが一息つけるので演奏がぐっと楽になるのだ.
例えば「雨に唄えば」は,ジーン・ケリーの声に合わせたGの曲で,楽譜もGが多いが,Dに移調して弾いてみると,驚くほど指使いが楽になる.また、ごく限られた音を繰り返しているだけなことにも気がつく.

移調マシン移調などというと難しそうだが.こんな秘密兵器を使えば案外簡単にできる.紙で2枚の円盤を作り,半音階を順番に書き込んで真ん中を画鋲で止めるだけだが,頭だけで考えたり,譜面で五線の数を数えるよりずっと楽だ.もちろん,C,C#,D,…ではなく,ド,ド#,レと書いてもいい.元の譜面があるなら,このやり方で1音づつ移し替えていけばいい.手間はかかるが,曲を覚えられるというメリットもある.

工作の話と違って,多少なりとも演奏に関わる内容はどうも書いていて気が引ける.こんなのを読んでもらっていいのか.せめてものお慰みに,バイオリンの名演奏を紹介しておこう.

スイング時代のジャズギターの巨匠ジャンゴ・ラインハルトと,長らくコンビを組んで活躍したバイオリニスト,ステファン・グラッペリによる「My Blue Heaven」.グラッペリはジャズ・バイオリンの近代的なスタイルを作っただけでなく,1997年に87歳で没するまで,若いアーチストと共演を行ってきた.つまり,たいていのことはこの人がやり尽くしてしまったので,どのジャズ・バイオリニストが弾いても,グラッペリ風になってしまうような気さえする.

次回「魂柱記」(2/14 AM0:01 投稿予定)
乞うご期待!