eBAYとPAYPAL

激安バイオリンは日本のamazonで買ったが,古いケースや魂柱立て,予備のブリッジなどは「eBAY」で買った.eBAY(イーベイ)は,世界最多の利用客数を誇るアメリカのオークションサイト.オークションと言っても新品を出す業者も多く,日本のヤフオクとamazonを合わせてスケールアップさせた感じだ.
日本サイトは準備中だが,いずれ正式に上陸したら,ネット・非ネットを問わず,ありとあらゆる商売に影響を与えるだろう.大きなダメージを受けるか,上手く利用してビジネスの規模を拡大するか.今から敵情視察のつもりで慣れておくのもムダではないと思う.

eBAYの決済にはPAYPAL(ペイパル)を使う.これはもともと個人間の国際送金手段で,ドルしか使えないが手数料がかなり安い.オークションなどの決済手段として,世界中のほとんどの国で広く利用されている.メールアドレスさえわかれば,クレジット会社のショッピングカートのような高い手数料がかからずに,安全に送金できるので,個人のショッピングサイトでは,主流の決済方式だ.

実はPAYPALのスタートは,日本が一番遅かった.以前ガーナから太鼓を送ってもらった時に,PAYPALで送金するように言われたが,日本になかったので何のことだか分からず,やむを得ず高い手数料を払って国際為替を使った.その時は,世界中でPAYPALが使えないのは日本とシエラレオネだけだった.他のすべての国は,内戦中のソマリアでさえ使えたのである.さしづめ日本の護送船団が黒船の来襲を洋上で阻止していたのだろう.世界中から物笑いになっているようで,実に恥ずかしい気分だった.

eBAYとPAYPALがタッグを組んでいるので,海外の商品も国内と変わらない手軽さで手に入れることができる.向こうが本場のものは概して日本より安い.アメリカの出品が多いので,どうしても送料は高くつくが,モノの目利きができる人にとっては,それでもお買い得だったり,そもそも日本にはないものが手に入る.

次回「eBAYとあやしい出品者」(3/20 AM0:01 投稿予定)
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たかが独学,しょせん独学

解体新書私のパソコン歴は古い.富士通が最初の機種を出した時以来だ.当時は取説のほか雑誌くらいしか情報がなく,教えてくれる人もいなかったから,ほぼ独学だった.超基本的な概念すらない人間が手探りで試行錯誤するのだから,解体新書の翻訳作業なみ.フルヘッヘンドであった.
だがそれが楽しかった.今思えば実用性ゼロのマシンなのだが,ちょっと理解できただけで,目の前の闇が開けるような達成感があった.

それと同じくらい難しいことに独力で挑みたい,というのもバイオリン挑戦の理由だ.それほど高い水準を目指すわけではなくても,年齢による能力の低下が手頃なハンデになって,ちょっと覚えるだけでも,あの頃にも似た醍醐味がある.

指導してくれる先生や教室もあるのだが,お稽古事の世界が好きになれない.そういうところの先生は,生活のためなのか,演奏活動のためなのかよくわからない所がある.月謝の他に,自分のリサイタルのチケットを買わされたり,パイプのある楽器店から新しい楽器を買わされたり.いまさらそれがいやだとは言わないが,さも当然のように押し付けられたり,逆に慣れない販促トークを聞かされたりするとわびしい気分になる.

3103Y6SVVCL以前,アジャ・アディという,ガーナ人ドラムプレイヤーのワークショップに参加したことがある.ガーナで本物の呪術師をしながら,ドイツで演奏活動をしていたアジャは,来日して渡辺貞夫のツアーにも参加していた.そして自分のコンサートと同時に,必ずドラムとダンスのワークショップを開いた.ワークショップは2時間ほどだったが,一生かかっても追いつけないほどの課題をもらった.そして何より,アフリカ音楽を見る目を開かせ,独学への道を拓いてくれた.
対面でものを教われば,技術や知識だけではなく,人格や精神も伝わってしまう.音楽を通じて何を伝えるのか,それがはっきりした人と出会うまでは,独学で十分だと思う.効率的に,正しいやり方を学習するなら,指導者に教わらなくてはならないことは確かだが,最短距離の道のりは,私にはちょっと退屈だ.

次回「eBAYとPAYPAL」(3/16 AM0:01 投稿予定)
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糸巻きについて

ペグ
ペグ(糸巻き)

中古バイオリンの弦を張り替えてみた.注意点は1本づつ取り替えること.何しろすべての弦を緩めたら魂柱が倒れてしまうかもしれないので.
さて,弦はペグに巻きつけられていて,端はペグに空いた穴に通してあった.ペグは黒檀などの硬い木でできていて,ペグボックスの穴に差し込まれている.ギターのような巻き上げギヤはないので,穴とペグの摩擦だけで止まっている.

 

ペグは,かなり力を入れてねじ込まないと弦の張力で巻き戻ってしまう.ペグを差し込んでいるペグボックスの素材はペグほど固くないので,長く使っているうちに穴が広がってしまうようだ.
するとペグ自体がより深く刺さることになり,弦の巻き終わり位置がどんどん奥に行ってしまう.こうなったら本体の穴を狭めることはできないので,新しいペグを買い,弦の端を通す穴をあらたに開け,古いものと取り替えるしかないのだろう.
実際ネット上では,バイオリンのあらゆる部品が販売されていて,もちろんペグもある.ペグボックスとその上のかたつむり部分も,単独で販売されているところを見ると,取り替えることもあるらしい.部品だけでなく,板を削る刃物や組み立てる際の固定金具,昔の製作者が書き残した図面集まである.演奏については練習するしかないのでなかなか書くことがないのだが,修理関係の情報はいくらでも見つけることができる.

次回「たかが独学,しょせん独学」(3/12 AM0:01 投稿予定)
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