弦を張り替える

復活した中古バイオリンの弦を張替えてみた.一度音の出なかったE弦だけ取り替えてみたのだが,無事鳴るようになったので,買った時からついてきた残りの弦も,すべて取り替えることにした.その最中に奇妙なことに気がついた.

ブリッジのプラスチックチューブもともと貼ってあった弦には,細くて短いビニール製のチューブを通してあるのだ.ネットでこれに関する情報を探したところ,こんな画像を見つけた.「ブリッジプロテクター」という名前で,ブリッジの上で弦を支えている.確かにこれならブリッジが削れてしまうのを防げるかもしれないが,こんな雑なことをしていいのだろうか?

 

bridge protector

また、同じくブリッジを守るため,E弦の部分にだけ黒檀を埋め込んだものもあった.その他にもE弦の乗る部分にプラスチック製のシールを貼ったり,見てもわからないほど小さな象牙片をを乗せる例もある.
ブリッジに使うのはメイプル材だそうだ.非常にスムーズに削りやすい性質の木だが,同じように弦でも削られやすいのだろう.そこまでするくらいなら,ブリッジ全体を金属とか硬質プラスチックにしてしまえば良いようなものだが,多分音が悪くなるのだろう.そういえばどこかで,ガラス製のバイオリンを作ったというのを聞いたことがあったので,検索してみるとブリッジと魂柱だけは木製だった.ここだけは譲れないものらしい.

ところで弦の張替えをやってみて,糸巻き部分についても分かったことがある.

次回「糸巻きについて」(3/8 AM0:01 投稿予定)
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再びブリッジを削ってみた

ケースのおまけについてきた古いバイオリンは,ブリッジを取り替えただけで,出なかった音が出るようになった.あちこちに傷があり,日に焼けたような色のバイオリンだが,鳴るなら十分だ.
交換したのは,最初に買った激安バイオリンについてきたブリッジである.2台目に付いてたブリッジは,第3弦が乗るあたりだけが高くなっていて,左右不均等な形をしているが,それに比べるとほとんど左右対称のカマボコ型.これが実に弾きにくい.音こそ出るが,そもそもブリッジの脚の面が合わせてない.そこで新しいブリッジを削ることにした.

ブリッジのようす削りながらE弦だけ音が出なかった理由を調べた.するとE弦の乗っていた部分は,「A」のようになっていた.細いワイヤを薄い木片の上で振動させるのだから,ブリッジのてっぺんが掘れてしまうのだ.本来は「B」のように,ちょこんと乗っかって,横にずれない程度の切れ込みがあれば十分らしい.

ブリッジ削りも2度目ともなると,少しは慣れてくる.一回目はとにかくおっかなびっくりだったが,今回は,少しは落ち着いて観察しながら削れた.また前回は,刃物でざっくり削ってしまうのが心配で,小さなヤスリを使って徐々に形を整えたが,よく見るとヤスリで削った面は平らではなく,中央が盛り上がってしまう.やはり鋭利な刃物で薄皮をはぐように削っていかないと,まっすぐな面を作り出せないものらしい.

そうして2作目のブリッジを設置して鳴らしてみたが,どの弦も問題なく音が出た.とりあえず激安についてきたブリッジに変えた時には,音がちょっと鼻づまりな感じに変わったが,今はまた軽妙な寅さん風に戻っている.クラシックには向かないだろうが,カントリーなら個性的でむしろ本格派の音質だ.遠慮しながら削ったため,まだ高さがありすぎる気がするが,おいおい調整していけばいい.ケースのおまけについてきたダメ元バイオリンだったが,どうしてどうして,立派なものだ.

BRIDGE

ちなみに,「A」のようになったブリッジも,捨ててしまわず,掘れてしまった部分を大きく削って,黒檀などの木片を埋め込んで修復できるらしい.歯医者で,虫歯の穴を掘り広げて詰め物をする要領だ.修復ではなく、もしかしたら最初からそうするのかも知れない.幸い黒檀などの端材ならいくらか持っているので,そのうち挑戦してみよう.

ブリッジ削りをやってみて,亜麻仁油や黒檀などの素材や,小さなヤスリなどの道具を,もともとけっこう持っていたのに気がついた.いつ手に入れたものかも覚えてないが,探しまわるといろいろなものが出てくる.こういうのも年の功の一種,人生の重みといえるかもしれない.

次回「弦を張り替える」(3/5 AM0:01 投稿予定)
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