楽器と調

ブルースハープは曲の調に合わせて,12個の楽器を使い分ける.だが、ブルースハープだけでなく,どの楽器もけっこう調が決まってるものなのだと感じた。ヴァイオリンもDやAの曲は弾きやすい.ピアノはあらゆる調を弾く楽器のような気がしていたが,C以外の場合は黒鍵を多用しなければならないので,やはりCに偏った楽器だとも言える.いまさら当たり前のことかもしれないが.

piano白鍵と黒鍵があるせいで,ピアノが調のある楽器になってしまっている.だからと言って,もし鍵盤を,半音順に白鍵だけ並べたら,どこが「ド」かわからなくなる上に,やたら鍵盤の幅が広くなって,手を広げた範囲に入る音が少なくなるだろう.なぜピアノがあんな風になってるのか,ようやくわかった.いまさら当たり前のことかもしれないが.

ピアノも曲調ごとに取り替えたら,演奏は楽になるのかもしれない.そこまでいかなくても,ポピュラー中心に弾くピアノは,B♭あたりに調律してしまえば,素人が弾きやすくなるような気がする.電子鍵盤楽器ならもうできているのではないか.邪道かもしれないが,愛好家の裾野が広がるのはいいことだと思う.

次回「どこからが演奏だろう?」(5/18日公開予定)
乞うご期待!

ブルースハープ

畏兄「昔の少年」氏はいつも忙しい.多趣味で,音楽でも車でも,いろいろなジャンルに詳しいが,特に昔やっていたトランペットをまた始めたいのに,その時間がとれないでいる.そこでせめてものなぐさめにブルース・ハープをおすすめした.

ブルースハープとはブルース・ハーモニカのことで,手の中にすっぽり収まるほど小さく,穴も10箇所しかない.同じ穴を吹く時と吸う時で音程が変わり,半音が出ないかわりに,隣り合った穴を2つ3つ同時に鳴らすと和音になる.半音が出ないので,曲の調に合わせて,全12種類のハーモニカがある.

そのなかで例えば「C」のハーモニカは,いわゆる「ドレミファソラシド」の音しか出ない.これだけなら童謡みたいな曲しかできないが,これを「ラ」の音から,「ラシドレミファソラ」と吹くと,Aから始まる短調(Am)のスケールになり,「G」から始めるとGの長調(GM)のブルース・スケールになる.それに加えて,音の出口を手で覆ったり開いたり,喉をすぼめて息の出入りを絞ったりすると,音程が微妙に変わりブルース独特の渋い音色になる.

氏にはGのブルースハープをおすすめし,バイオリンと相性のいい,DのブルースやEmの曲で合奏しようと持ちかけた.氏からは,いっそ「ストリート・ミュー爺チャン」をやろうと言われている.

次回「楽器と調」(5/14)公開予定
乞うご期待!

カテゴリー「Bluesへの道」

OLDBADなこどもの日

5月5日はこどもの日.OLDでBADでも,BOYなんだからお祝いしてもらいたいものだ.

こどもの日は,昔は端午の節句と言った.紀元前3世紀,中国の楚の国の大臣,屈原が川に身投げしたことを悲しんで始まった行事である.有能で剛直な政治家だった屈原は,王に正しい換言をしたためにかえって疎まれ,左遷された.そして国の将来を憂いて川に身を投げたが,その人柄を慕う国民は,屈原の体が魚に食われぬよう,粽(ちまき)を投げ込んだ.日本では主に関西の風習だが,端午の節句に粽を備えるようになった由来である.だがここまでは,こどもとは関係がない.

端午の節句には,気候が暖かくなり中毒などをおこしやすくなる時期ということから,殺菌作用のある菖蒲(しょうぶ)の葉を飾った.その菖蒲が尚武(武芸や武勇を重んじること)に繋がることから,甲冑などを飾って男の子の成長のお祝いをするようになったという.

https://www.youtube.com/watch?v=snrkIjNmm1o
端午ということで,ヴァイオリンでタンゴの名曲を演奏した動画を探してみた.若いころは,タンゴは感傷的すぎて,もっとクールな音楽のほうが好きだったが,今聞くと心に沁みるものがある.

ちなみに江戸時代には,自分は半人前ですという意味で,「まだまだ屈原でございます」という言い方があったそうだ.これは屈原の有名な詩「漁父辞」の冒頭が,「屈原既に放たれ(はなたれ)」(屈原は左遷されてしまった)だったので,鼻たれとひっかけたのである.昔の人は教養があったものだと感心するが,ともあれ「鼻たれ」が出てきて,ようやくこの話もこどもの日とつながった.