ヴィオラへの道

以前「ビオラもいいなあ」で書いたが,だんだんビオラが欲しくなってきた.理由は何と言っても音域で,バイオリンに比べてほどよく低いのが、ポピュラー曲向きのような気がすること.そして何よりちょっと人と違う感じがしていい.
だからと言って完全に乗り換えるつもりではなく,使う音域で曲によって使い分けてもいいように思う.特に繊細な高音はバイオリンの醍醐味だろうけど,どんな曲でもクラシック崩れのように聞こえてしまう.さらに指が短いのに太い.半音上げるときは指1本並べたあたりを押さえるのだが,これが窮屈な感じがする.もう少し弦の長さのあるものなら,楽に押さえられるような気がする.
また,バイオリンの情報を検索すると,時折非常に上から目線の書き込みを見かけて気分が悪くなる.歳をとると相手が自分より若い可能性が高いので,小僧がしたり顔で講釈たれてるところを想像してムカッ腹が立つ.だが,なぜかビオラ関連では,そういうのを見かけない.だから自分のような温厚な人間にふさわしい楽器なのではないかと思うのだ.

さて,実際にビオラを物色し始めると,すぐにややこしいことに気がつく.バイオリンに比べて,サイズのバリエーションが多いのだ.バイオリンにも3/4,1/2というように子供向けのサイズもあるが,大人用には4/4(フルサイズ)しかない.それに比べて,ビオラは決まったサイズがない.12インチから17インチ以上まで,0.5インチ刻みにサイズのバリエーションがある.

こういう情報が案外みつけにくい
こういう図をきちんと書いてくれるところが日本には少ない

この中で14インチのビオラは,バイオリンの4/4と同じサイズらしいので,それも悪くないかなと思っていたが,小さいビオラは本来の音がでないので,大人なら16インチ以上が良いそうだ.また,このインチというのは,楽器の胴の部分の長さのこと.海外サイトでは,そこが徹底されている.日本ではミリで表示するので覚えにくいだけでなく,全長を表示するところもある.

サイズ表?

ちなみに日本のとあるバイオリン情報のサイトにあった図.フォトショップで縮小して並べたものだが,これに何の意味があると思ったんだろう?

 

 

次回「ヴィオラへの道 その2」(7/2公開予定)
乞うご期待!

焼香

音楽に全く関係のない話だが,最近葬儀や法事が続いた。以前から気になっていたが,ほとんどの人が,焼香箱に向かって頭を下げたり拝んだりしていた.あれはただの箱と木くずなので,拝んでもしょうがないのだが.

日本では,公式の場で目上の人から物を受け取ったり,献上するときは,そのものを自分の目の上まで高く持ちあげる.焼香の場合は,仏になって高い場所にいる故人に,香を捧げますという気持ちで,つまんだ香を目の上におしいただいて見せるのが,本来の焼香の所作だ.

我々より一世代以上上の方々はその意味はわかっていたが,長年の慣れで動作をちょっと簡略化して,頭の方を下げて,目をつまんだ香の下に持っていくようにしている人もいた.目の上に押しいただく意味はわかってやっていたので,よく見ると香をつまんだ手首を返して,指先が上を向くようにしているのだが,それより若い人からは,ただ頭を下げたように見え,それが一般化したのだ.だからつい合掌も焼香箱に向かってしまうが,これは頭を上げて前を向き,本尊や個人の遺体・遺骨を拝まなくては意味が無い.

僧侶だった父は晩年,焼香をことさら大きな所作でするようになった.目の上に押しいただくだけでなく,左手を下にあてがい,献上するしぐさをはっきりく見せつけるようにした.冗談はよく言うが,大事なことはやってみせるだけでくどい説明をしない人だったが,実はそんな頃から,焼香箱を拝む人が現れてきたのだ.

意味が伝わらなくなれば,若い人が「適当に頭を下げておけばいいや」と思うのは無理もない.だが堂々とした日本人の所作というのは,実践していて気持ちのいいものだ.焼香の場などで,人と違うことをするのはけっこう勇気がいるが,ぜひ思い出してやってみてほしい.ブラックな上司やモンスターな顧客とは一味違う,文化の継承者になるというような気持ちで.

次回はお待ちかね,本筋に戻って「ヴィオラへの道」(6/28公開予定)
乞うご期待!

リズムとズレ2

前回の「リズムとズレ」では,アフリカの子供は三拍子の曲に2拍の手拍子を入れると言ったが,心臓の3拍と足の2拍は,縦に重ねるだけでなく,横に並べることもある.
リズムとズレ2
②のように,5拍の音を繰り返すのだが,5拍を均等に刻むと言うより,②のように緩急をつけたリズムを刻む.これがガーナ音楽の代表的なリズム「kpanlogo(パンロゴ)」だ.とはいえ,厳密にこの譜に書いた通りに刻んでいるわけではなく,「ケニケニカ、チャチャ」という歌で口伝えされている.また,この5拍のリズムは同じガーナの音楽でも,地域や種族で微妙に緩急の付け方がズレているようだ.
パンロゴや他のガーナの音楽に慣れ,5拍のリズムが身についてくると,このズレの間隔を自由に動かして,4拍子一小節の間を,正確に5等分するリズムなんていう芸当もできるようになる.

 

ちなみにガーナ音楽になじみのない人でも,ボザノバなどのラテン音楽をよく聞くと,背後で主にクラベスという拍子木が,このケニケニのリズムを刻んでいるのがわかるはずだ.アフリカから奴隷として連れ去られ,南米で生きることになっても,故郷の心臓と足のリズムまで奪うことはできなかったのだ.

カテゴリー アフリカのリズム