著作権期限が切れた名曲を紹介する「パブリック・ドメイン名曲集」。第一回目に紹介するのはスコット・ジョプリン(1868-1917)のエンターテイナー(1902)である。実に115年前の曲で、こうまでしないとパブリック・ドメインが見つからないのかと少々ゲンナリする。が、映画「スティング」のテーマやJリーグのチャント(応援歌)になっているせいか、そこまで古さを感じない。
いかにも古き良き時代の、酒場やダンスホールの音楽である。伴奏に音をたくさん出すのは、ピアノしかない酒場でも、多少の調律狂いを気にせずにゴマかしが効くからだろう。ラグダイム・ピアノはジャズの前身ともいうべき音楽で、自由奔放な雰囲気ではあるが、全部譜面通りで、即興で弾いてるわけではないらしい。
ちなみに、パブリックドメインの曲だけを調べる方法はあるのだが、作曲者の死後50年保護されるので、知らない曲が多い。また、レコードなどに演奏が残っていても、さすがに編曲が古くて愛着がわかない。十分古い曲だがいろいろな人に演奏され続けて、お手本になるモダンな演奏がある、というようなのが理想だが、これが案外少ないのだ。

