ビッグデータと通行量ヒートマップ

現在、どの道路にどれくらい通行量があるか、世界中の車や携帯電話のGPSデータを集めて、リアルタイムのヒートマップで表示しているのが

Strava Global Heatmap

である。
ここでは、密度の高いところは白熱した色、少ないところは暗い色で表示される。自動車や携帯電話のGPSデータは、本来は移動経路まですべてわかってしまう個人情報なのだが、こんなふうに誰のものか判別できないように集めたビッグデータとして使うと、いままでできなかったことが可能になる。最近は様々な個人情報を扱うサービスで、此のような使い方をする旨、事前に說明されることが増えてきた。

例えば東北大震災の時には、車のGPSデータのマップにより、道があるのに全く車の通っていない箇所が見つかり、土砂崩れを発見することができた。ヘリのパトロールや一般からの報告よりもずっと早く、陸の孤島化した箇所に救難に向かうことができた。

また、いつも通る道を拡大して、他と比べるだけでも面白い。例えば山の中に妙に明るい場所を地図と比べると、意外なところに人が集まる場所があるのがわかる。また高速道路が案外暗いが、これは車間距離を長めにとるせいで密度が低くなってるのかもしれない。地図で見ても何もない海の上に、妙に明るい場所があったりすると、秘密の施設があるのではないかなどと、想像力を掻き立てられる。

※ちなみに先日まで三陸沖に不思議な光点があったが、話題になったら消えてしまった。楽しい!

インターネットマップの世界

渾身のチューニング

バイオリンにはファインチューナーという器具がある。弦の末端で、微妙な音程を調律するものだが、入門用にはすべての弦についているのに、多少とも上級なものには、一番高い弦にしかついてない。素人向けの器具というわけではなく、高い弦用の1個だけは、プロもつけている。これなしで調律できないとだめなのだろうと思い、新しいバイオリンは、残り3本にファインチューナーをつけないで調律することにした。

だが、ファインチューナーなしで調律するのは実に大変な作業だ。力任せにぐいぐい回すだけならできるが、微妙な調節の段になると、1度にも満たない角度を回さなくてはならない。木の穴に木の杭を差し込んだだけのものなので、すぐ回しすぎたり足りなかったりする。ゆるく差し込んであると弦の張力で巻き戻ってしまうので、押し込みながら回すのでなおさら回りにくい。同じ調律でもギターは歯車がついているのでずっと楽だ。なぜバイオリンはそういうふうに進化しなかったんだろう。調律の時はどうしても憤怒の表情になってしまうが、プロも同様で、楽器のお尻をお腹に押し当ててよいしょという感じで回している。この作業は小学校低学年には無理だろうと思うが、何歳くらいからできるようになるのだろうか。

ブリッジも自分で立てたが、調律で弦を巻き上げるにつれて引っ張られて前倒しになり、つま先立ちになってしまう。弦の力でがっちり押し付けられているものを、これまた渾身の力で、ほんのちょっとだけ傾きを直してやる。華奢なものなので、ボキッといってしまわないか、ドキドキだ。ブリッジを動かすと、4本の弦すべて調律が狂うので、また調律のやり直し。そうこうするうちに、なんとか音程が合ったころには、指が痛くて演奏する気にならなくなる。バイオリンの演奏家(だったと思う)は、指先のデリケートな感覚を守るため、ちょっとした怪我もしないように手袋をして寝ると聞いたことがあるが、こんな力仕事をしたら手袋もへったくれもないような気がする。

ともあれ新しい楽器は楽しい。前のに比べて大きくて力強い音が出るようになった。まだ堅い感じがするし、第2弦のDの位置で少しかすれるような気がするが、新品だから、これから徐々に調子が上がっていくはずだ。

maggini

先日eBayのオークションで落としたバイオリンが届いた。前のものは8千円の激安だったが、弓や松脂、代えの弦など、必要なものがすべて揃っていた。今回は本体のみで、ブリッジも立ってなかった。独学初心者は困るだろう。流石に新しいほうは音色が良いので、今後激安を手にすることはないかもしれないが、気兼ねなくいろいろなことを試せたのだと思うと、激安セットには感謝の念が沸き起こる。

今回のバイオリンはmagginiという楽器のコピーだそうだ。見てわかるように背面に装飾があり、本体の縁を取り囲むラインも二重だ。そして、比べないとわからないが、f字穴も長いのだそうだ。最初見た時はちょっと邪道な感じがしたが、ストラディバリやガルネリなどの前に作られていた、れっきとしたもののコピーだという。新しいバイオリンを物色してた時に、ほかはどれも同じに見えたが、このタイプだけは外見で区別が付くので比較対照しやすかった、というのが選んだ理由だ。また、そうやって見ているうちに、装飾の違和感が無くなった。

手にしてすぐ気がつくのは「ニスが塗ってあること」だ。激安はプリントだったらしいので、表面は均一だったのだが、今回のはところどころ塗りムラもある。ビオラの時はしばらくの間ニスの匂いがきつかったが、今回はほとんど臭わない。よく枯れた楽器というか、店晒しだったのかもしれない。業者の說明写真は送られた現品を撮したものだった。量産メーカーとしては良心的だろう。が、正直言って写真写りが良すぎる気もする。
ファインチューナーという、微調整のための金具が1個しかついてない。ビオラには残り3本にもぜんぶ取り付けてしまっが、今度はこのままで行こうと思う。3本の調律は、頭の部分に差し込んだペグという木の杭だけで行わなくてはならないが、みんなやってることなので慣れることにした。これでようやく、きちんと習った人のスタートラインと同じである。

また、以前のバイオリンは最初から自分でブリッジを削って、押さえやすいよう弦の位置を下げた。今回は付属のものをそのまま使おうと決めていたが、心配していたほど違和感はなかった。多分指の力がついたのだと思う。

ちなみに梱包の中に送り状が入っていて、送料は30ドルなことがわかった。サイトでは88.99ドルだったので、ボラれはしたが、オークションで低額で落札されるリスクの対策だろう。ご愛嬌だ。

メーカーのサイトにあった写真を拝借したが、とどいたものと木目まで同じだった。実際に売るものを撮影してるらしい。

胴体の周囲を取り巻く線(パフリング)が二重なのと、f字穴が長いのがmagginiの特色だという

magginiは、ヘッドのうずまきが普通のものよりもう一巻き多いのが特色だそうだが、そこは再現されてなかった。