リハーモナイズとは、元の曲のコードを作り変えて自分なりの音楽にすること。渡辺貞夫が名著「ジャズ・スタディ」を書いてから、いろいろなコード理論の本が出版され、また、ネット上にも教則サイトがあるが、これがなかなか難しく、私も挫折した口である。コードに新しい音を付け加えると、新たな名前のコードになる理屈はわかるものの、単音の楽器では音色を確かめようもないし、鍵盤楽器で試しても、曲の流れの中でどう使うかが分からない。半信半疑で出した音は、汚い和音にしか聞こえなかったりする。
ここで紹介するのは、名曲Amazing Graceを、シンプルな3和音から複雑なコードを駆使した演奏まで、6通りに作り変えてみたものである。有名アーチストのスタイルをなぞったものもあるらしいが、原曲の中からコードの違いを聞きとることは難しい。こんなふうに、メロディに対してシンプルにコードを弾いてくれて初めて違いがわかる。もちろん、なんとなくでしかないが。
リハーモナイズされた曲調に対し、アレンジを加えて歌い上げるシンガーがまたうまい。ジャズやポピュラー音楽は、歌手やリード楽器だけが個性的な演奏をしているのではなく、和音を担当する楽器パートも、演奏の個性を作り上げているのだということがあらためて伝わってくる。。