昨年の北海道胆振東部地震の際、道内で唯一北広島市だけ、全市で電話回線が不通になり、消防などの緊急番号も使えなくなった、ということを先日知った。電話機は本来電力会社からの電気を必要とせず、電話線から必要な電力を得ているが、想定外の通話の集中でその電力を送っていた電話局の蓄電池がパンクしたそうだ。厚真発電所のダウンも想定外、これも想定外ということで、北海道全体のインフラの底力が失われているのではないかと心配になってくる。金がないのかもしれないが。
上の図は、物流システムの基本概念を電話に置き換えたものだ。m人の人がn箇所へ一斉に電話をかけたら、地域の電話局の負担は、左図の赤線で示したようにmxnになる。これに対して、twitterやfacebookなど、SNSで安否確認を行えば、地域の電話局の負担はm+nで済む。これは東日本大震災でも言われたことだ。
物流についていえば、その昔は、「生産者直送で中間コストを削減したのでお買い得!」などというウソがまかり通っていたが、実際には上記の図のように、卸や配送センターで物流コストを下げたところだけが価格競争力を持って生き残ってきた。SNSでは、ネットワーク全体ではなく、上の図のどこかで見たことのある家からの通話分だけを考えれば良くなる。
とはいえ、北広島市で通話が集中したのは、高齢化によるところが大きい。遠隔地に暮らす高齢者は、災害時にもっとも心配な人たちだが、おじいちゃん、おばあちゃんがさっそうとスマホを取り出し、LINEで安否確認をする、という場面は想像しにくい。
そこでSKYPEなどの音声グループ会話ならどうだろう。基本は会話なので、高齢者にもまだ敷居が低いような気がする。映像チャット機能もあって、遠隔地の孫といつでも顔を見て話ができるのだから、日頃から使い方を覚えるのではないだろうか。緊急時にかかってきた電話は、強制的にこの音声グループにまわしてしまえばいい。次々に親戚、知り合いなどが音声チャットに刺さりこんでくれば、賑々しくてかえって高齢者も安心だろう。
いずれにせよ、われわれは行政などのインフラ整備に文句をつけるだけでなく、自然に対するのと同じように、インフラ環境にも優しい暮らし方をすべきなのかもしれない。