激安アルトサックスレビュー動画

改元大連休の後半、風邪をひいたあげく歯まで痛みだしたので、外出もせずごろごろ動画を見て過ごした。で、見つけてしまったのがこれ。

激安アルトサックスとヤナギサワ製、吹き比べ

amazonで2万円台で売られている激安アルトサックスと、自前のYANAGISAWAの40万円台との比較動画である。正直言って、amazonに飛んで行きたくなるのを必死でこらえながら見た。3万円ほどでこんな音が出るなら、今すぐだってほしい。

さて、一度冷静になって考えると、私は4年前に8千円で激安バイオリンを買った。結局それは1年半ほどで、もうちょっとましなものに買い替えたのだが、最初の激安については全く後悔していない。確かに人前に出せないような加工だったが、おかげで次のを買うための知識を得た。今後弾くことはないだろうが、バイオリンのある人生をもたらしてくれた感謝や愛着は変わらない。
そこであらためてサックス動画を見ると、演奏前にところどころキーの機構を修正したりしてるので、買ったままでは音が出なかったり、運指がスムーズにいかないかもしれない。大手メーカーなら出荷前に綿密に行う調整を、けっこうすっ飛ばしてるという感じだが、少なくともオモチャではない。初心者には調整は難しいかもしれないが、ブラスバンド経験者などがいれば、なんとかしてもらえる程度のような気もする。

YANAGISAWAの40万円台は、全く妥当な金額だと思う。では、激安がその20分の1の値打ちしか無いかといえば、とてもそうは思えない。激安バイオリンのときにも、バイオリン市場を一気に拡大させるきっかけになるのではと思ったが、楽器の世界全体に変革が起こってるかもしれない。

ちなみに念の為だが、これを買っても、動画のように吹けるわけではない。プレイヤーの年齢からして、10年、20年という研鑽の日々が為せる技で、この動画は、要は上手い人は楽器を選ばないと言ってるに過ぎない。と、必死に自分に言い聞かせている。

エレクトリック・ヴァイオリン

ヴァイオリンは音量が小さい楽器だ。練習し始めの頃、家族に雑音を聞かせるのが心苦しかったが、逆にそんな小さい音で良いのかと言われた。自分には肩や顎から骨伝導で伝わるのでけっこう大きな音のつもりでも、外に向かってはそんなものだったらしい。そんな具合だから、本職はよくマイクをとりつけて増幅している。そうでもしないと、ピアノやドラム、エレキギターの音量に負けるのだろう。

既存のヴァイオリンにピックアップを取り付ける以外にも、エレクトリック・ヴァイオリンも販売されている。これには、主に無音で練習するためのタイプと、エレキギターのようにステージで増幅させてガンガン聞かせるタイプがあるようで、前者はヴァイオリン本来の形に似せて作ってあるが、後者の形は千差万別である。音を聴き比べたことはないが、前者は原音に近く、後者はエレキギターのように、エフェクターなどを駆使して自由な音を出すもののように思える。

エレキギターというのは偉大な楽器だ。どちらかと言えば民族楽器だったギターの枠にとらわれず、偉大なプレイヤーやビッグスターが次々と新しい音や奏法を生み出して、ポピュラー音楽に欠かせない楽器になってしまった。特に、余韻がずっと消えずに音が長く続くエフェクトなどは、本来ヴァイオリンのほうが得意なはずなのだが。

だからもし私がもう少しうまくなったら、エレクトリック・ヴァイオリンも弾いてみたいと思う。ご存じのようにヴァイオリンの値段は天井知らずなのだが、どうやらエレクトリック・ヴァイオリンは、YAMAHAのYEV104という6~7万円の楽器が最高性能なのだそうだ。
さらに興味深いのは、YEV105という5弦のタイプ。低い弦を1本増やして、ビオラの音域もカバーしているので、ポピュラー音楽にはうってつけだと思う。本数が増える分、弦同士の間隔がやや狭くなっていることと、ヴァイオリンとビオラでは押さえる間隔が違うことを考えると、從來とは全く違う楽器を始める覚悟がいるのかもしれないが。
ネット上では日本語や英語でYEVシリーズを試奏した動画をよく見かける。ヤマハが本腰を入れてエレクトリック・ヴァイオリンのスタンダードを狙っていることが分かる。これが、ポピュラー音楽のちょっとした転換点になって、エレキギター同様、最初に手にする楽器がエレクトリック・ヴァイオリンという時代が来るかもしれない。私も若ければYEVをひっさげてポピュラー音楽の歴史を作り変え、没後、生き様が映画になるところまで狙うのだが。

YEV104
YAMAHAのエレクトリック・ヴァイオリン YEV104

李子柒/羊毛の草木染め

毎回、美しい画面と音楽に似合わない、ワイルドな手作り生活を紹介する 李子柒 。前回の布団作りで残った真綿(絹)を持って、羊を飼っている農家で羊毛と交換。軽くひねりながら横に張り出した独特の角を持つ羊だが、品種まではわからない。原毛はそのままだと、さわっただけで手がギトギトになるほどの脂肪がついている。手でゴミを取り除いた後、羊専用の洗剤に漬け、煮ながら脂肪を落とす。ちなみにイギリスだかカナダだかの昔ながらの船乗りのセーターは、脂肪のついたままの毛糸で編むので、温かいだけでなく水をはじくということを聞いたことがある。ただし羊の脂肪は臭いので、いくら本物志向でも日本で着て歩けるようなものではない。
洗い終わった羊毛はほぐして遠火の熱で乾燥させた後、剣山のようなカーダーで毛の向きを揃え、紡ぎ車で引き伸ばしながら糸にし、さらに撚って毛糸にする。これを山葡萄の絞り汁で草木染めし、ミョウバンで色止めし、干したらようやく編み物である。今回はずいぶん大きいのでベッドカバーかと思ったらマントだった。
それにしても、子羊を連れて行ったときは、「食うのか?」と思ってしまった。鶏くらいならあっさり締めてしまう番組なので、ちょっとどきっとした。