スーパー”安心”フォトショップ

Adobe社は、自社の画像処理ソフトPhotoshopで加工された画像を見つけ出し、さらにAIを駆使して元の画像に戻す技術を開発したらしい

さあ、大変だ!だが大変なのはPhotoshopを多用する広告デザイン業界ではない。まず、なんと言っても大変なのは芸能界だろう。シワ、白髪、ハゲ、メタボ、低身長。アイドルのプライベート写真に、消したはずの男が映ってたり、爽やかさが売り物の男性俳優が、何が原因かわからないが、虚ろで焦点の合わない目つきだったり...とか。

それ以上に、事件現場写真からスポンサーの看板を消していた新聞社や、偉大な指導者様の太鼓腹をせっせと引っ込めていた秘密情報組織など、真実や正義、フェアネスを売り物にしてきた分野は、顔面蒼白だ。

ではなぜそんなものを作ったのだろう?世界中に脅迫状を送るつもりなのか?

答えははっきりしている。まもなく「スーパー”安心”フォトショップ」が発売になるのだ。

李子柒 / 小麦啤酒

だんだんやることが難しく、忙しくなる李子柒。今回は小麦ビールだ。
まず収穫した小麦の束を地面に並べて干し、唐竿(からさお)でたたいて脱穀する。唐竿は、昔は洋の東西を問わず使われていた農具で、武器にも使われた。柄が短くなったのがヌンチャクで、長いままトゲトゲをつけたものはフリントと言い、盾を構えた向こう側の敵もひっぱたくことができた。もちろん今では使わない。うん10年前の中国のフィルムでさえ、道に広げた小麦の上を通行中の車に踏ませるという近代的な方法で脱穀していた。
次に唐箕(とうみ)にかけ、風を送って麦と殻や枝を分ける。こうやってできた玄麦(げんばく)には皮がついているので、製粉所に持ち込んでいわゆる小麦粉にしてもらう。小麦粉はいんげんと豚肉の包子と、野菜のすいとんにしたようだ。
唐竿や唐箕だけでなく、後半では水田で牛に馬鍬(まぐわ)を曳かせて代掻き(しろかき)をするシーンも挿入されている。小学校の社会科の教科書の挿絵以外、本物を見たのは始めてだ。

ここからどうやら2種類の酒を作ったらしい。ひとつは麦酒。ビールではなく「むぎざけ」といったほうがよさそうなものなので、ビールは中国式に「啤酒」と書こう。麦酒を作るには玄麦を煮て煮汁ごと自然に冷まし、酵母を加えて柿の葉で蓋をし、3日間発酵させてできあがり。麦が入ったまま飲む、というか食べる酒のようだ。

さて 啤酒のほうは玄麦を水につけてザルにあけ、濡れた布をかぶせて3日あいだ温度管理しながら発芽させる。麦芽を作るわけであるが、酒や水飴を作る麦芽は大麦から作るらしいので、小麦からつくるのは珍しいのかもしれない。
小麦麦芽は火力乾燥させ、75度程度の湯を加えて1時間ほどかけて、小麦のデンプンを糖化させる。
麦汁を濾して乾燥させたホップの花を加えながら煮込む。一般的なビールの場合は、緑色のホップの実だったはずなので、この辺もちょっと違う。ビール酵母をぬるま湯で活性化させておき、適温まで冷ました麦汁に加え、半月間発酵させる。上面発酵というやつではないかと思う。少し酸っぱい 啤酒ができているような気がする。
その後耐圧式のビール瓶に移し替え、角砂糖を入れて補糖(ほとう)する。これで新たに炭酸ガスを発生させるが、逃げ場がないので水に溶けていき、栓を抜いた時のビールの泡立ちが生まれる。子供の頃、ぶどうを発酵させてぶどう酒を作ってみたことがあり、砂糖を継ぎ足したらもっとアルコールの強いものができるかどうか試したことがある。酒店の知人に話したら、それは補糖といい、ぶどうの糖度が高くならないドイツなどではよく行われる技法だと言われた。自力で本場の技法にたどりついたと、自画自賛したのを覚えている。

ちなみに日本ではビール酵母は簡単に手に入らない。エビオスというアサヒビールの酵母から作った整腸剤があり、亜鉛が多いので男性機能の向上という、いまさらな効能があるが、これを砂糖水などに漬けても発酵は始まらない。試したことがあるのでわかる。

人工惑星アートDESPATCH

今年、JAXAが打ち上げた小惑星探査機「はやぶさ2」が、小惑星「りゅうぐう」に接近し、衝突実験に成功した。2014年の打ち上げにあたっては、はやぶさ2と同梱される宇宙船が公募されたが、ここで選ばれたのが「DESPATCH」だ。多摩美術大学と東大のグループが開発したDESPATCHは、アマチュア無線家との交信などの技術ミッションをこなす人工惑星であると同時に、世界最速で太陽系の公転軌道を回るアート作品でもある。

何より注目すべきはその形状だが、下記の動画の冒頭からすると、太陽や太陽系の惑星の、宇宙空間での軌道から導き出されたものらしい。太陽系の惑星は、不動の太陽の周囲を回っているように見えるが、太陽自体も銀河系の周辺部をゆっくり回っているので、宇宙から見た実際の動きは同心円ではなく、動画の冒頭の光の玉のように、からみあった螺旋形になる。それをもとにして、3Dプリンタなどの技術を使って製作したらしい。

DESPATCHのミッション時間は1週間と短いため、他の人工衛星のような太陽電池パネルは持たず、内臓の電池だけで稼働した。その後はアートとして、地球同様に、太陽の周囲を回っているという。来世紀になったら、観光名所になってないだろうか。

One Small Spacecraft for a Team, One Giant Leap for Art from artsat on Vimeo.