ビオラの時代がやってくる

令和になり、天皇陛下を改めて紹介する報道が増え、陛下がビオラの奏者であることも知られてきた。だからというわけではないが、これからはビオラの時代だ。形はバイオリンとそっくりだが、大きさはかなり大きく、その分音域が低い。この低い音域がちょうど女声歌手やサックスのアルトと同じあたりなので、ポピュラー音楽になじみやすい。

オーケストラではバイオリンの伴奏的な役割をすることが多く、ビオラの名曲や有名奏者も多くはないが、ポピュラー音楽では、バイオリンがその昔に一世を風靡して、ややピークを過ぎた感があるのに比べ、ビオラはこれから。スターが登場するのではないかと思う。
演奏の際は、ビオラのほうがネックが長いので、バイオリンよりも指を広げなければならない。逆にいえばバイオリンは音と音の間が狭すぎるが、ビオラはゆったりしている。邪道な言い方をすれば、バイオリンは正しい位置からちょっとでもずれて押さえても音が狂うが、ビオラはやや許容範囲が広い感じがする。

また、ビオラにはいろいろなサイズがある。バイオリンのサイズは子供の成長に合わせるものだが、ビオラは大人用でも、バイオリンと同じサイズから威風堂々たるサイズまで、幅広い。大きいものが本来の音だと言われているが、我々が手に入れられる価格帯なら、大きさではなく楽器の当たり外れの範囲内だろう。小さいサイズがあるのはそういうニーズがあるからで、そもそも楽器としての標準が決まってないような気がする。

さらにバイオリンにはエレクトリック楽器があるが、ビオラにはない。そのかわり、YAMAHAのYEV105のように、5弦でビオラの音域までカバーしたものが出ていて、このあたりが、これからのポピュラー音楽に大きな役割を果たすのではないかと思う。

1964年東京パラリンピックの衝撃

東京オリンピックが来年に迫ってきた。それにつれて、55年前の東京大会の情報も増えてきたが、同時に開催されたはずのパラリンピックについて、全く記憶が無いのに気づいた。そこでネットを調べると、情報は少ないながらも、非常に興味深い記事に出会った。

http://www.ssf.or.jp/history/legacy/tabid/1106/Default.aspx
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO25078610W7A221C1000000/

ざっくりいうと、64年にもパラリンピック東京大会が開催された。日程は、11月8日から12日まで。東京オリンピック閉会式の10月24日の直後に、かなり慌ただしく開催された。日本選手団の成績は、卓球の金メダルが1つあったものの、惨敗だったらしい。さらに関係者にとって衝撃的だったのが、海外の選手が明るくたくましいスポーツマンで、ほとんどが職業を持っていたこと。それに対し日本選手団は、この大会に合わせて医療施設などからかき集められた人たちだった。障害者は気の毒で、守ってあげるべき人たちという意識しかなかった日本社会が、海外との差を見せつけられた大会だった。

現在普通に見かける点字タイルや車椅子用スロープ、車椅子マラソンなどの競技大会は、もとをたどれば、64年の東京パラリンピックの衝撃から生まれたものなのだろう。選手だけでなく、日本人の福祉意識までが惨敗という衝撃的な大会だったが、社会への影響は大きかった。2020年のパラリンピックでは、ぜひ快勝した上で、さらなる好影響を残してほしい。

1964パラリンピック東京大会のシンボルマーク。無断掲載はまずいが、あまりに紹介されなさすぎたので、怒られるまで掲載。