コロナ感染の危険性は、当然人が集中する都会のほうが高い。だが、都会であれば多くの施設の入り口に、消毒用アルコールが設置させているはずだ。普通に暮らしていても日に何回も消毒の機会があるだろう。コロナの危険性が伝わるやいなや、役所の指導を待つまでもなく、自主的に多くの建物の玄関にアルコールが並んだのを見て、日本というのは大した国だなと思った。
もしこれが低開発国であれば、そんなふうにしたくてもできないかもしれない。日本人は非常に恵まれているわけだが、正しいアルコール消毒ができていないと、無知のせいで先進的な環境を使いこなせなかった、ということになる。
手のひらにとったアルコールで指先を湿らせるだけでなく、指先を立てて左右にこすり、爪の間にアルコールが行き渡らせる。手のひら、手の甲だけでなく、指の股にもアルコールを塗り込め、最後は乾く前にドアノブや自動ドアのスイッチに触れる。
食品工場の生産施設に入った事がある人は、そんなふうに指導された経験があるだろう。まだまだ指先を湿らせただけでさっさと通り過ぎる人が多いが、まれにそこまでやってる人を見ると、ああプロだな、かっこいいなと思う。それは命根性が汚いのではなく、他の人の生命も守っているからだ。
コロナだろうがなんだろうが、仕事しなければならないんだよという人は、ヤケのやんぱちでおざなりの消毒で済ませてないだろうか。ネット上では外国人の入国禁止や、感染者を出した政府機関への批判が目立つが、きちんとアルコール消毒ができるかどうかというほうが、数億倍重要だ。これは大げさなことではなく、誰かを批判したり国のすばらしい対策を待っているだけでは1個のウィルスも死なないが、アルコールを使えば数億個が死ぬ。思想でも、言論でも、気持ちの問題でもない、アルコール消毒の問題だ。