楽器家紋 / いろは鍵盤

伝統的なものだけでなく、身につけた人間の生まれ育った風土や専門分野、趣味をモチーフにした家紋、時代性を盛り込んだ家紋があったら楽しい。それが日本独自の家紋文化の拡大発展につながるようなら、なお面白いと思う。というわけで今回は楽器の家紋。キーボードだ。

鍵盤のラシドの部分、日本式で言えば、「イ、ロ、ハ」の部分がモチーフ。伝統的な家紋にもこういうシンプルなものが多いので、けっこう家紋らしくなったと思う。

ところで、ドレミファソラシドの音階は、英語やドイツ語ならCDEFGABC、日本式ならハニホヘトイロハだ。ABCにイロハの文字を振ったのはわかるが、なぜAではなくC(ハ)から始まるのか。これは「ラ」の音から始まる音階のほうが先にあったからだそうだ。
では、そもそも「ドレミファソラシド」とはなんだろう。どこかの国のアルファベットかと思って調べたら、紀元10世紀のイタリアで始まった言い方だそうだ。
当時教会音楽の中に、各節の頭の音がちょうど1音ずつ上がっていく曲があった。その歌詞の頭の部分をならべると、ド、レ、ミ、ファ…になっていたので、音の名前として使われるようになったのだそうだ。要するに当時の「ドレミの歌」からとったわけである。

リンゴ

先日リンゴのおすそわけを頂戴した。木のオーナーになっていて、今年の収穫の一部だそうだが、今年は豊作だったとか。本州から移住してきて、初めてリンゴが木になっているところを見て感動して、オーナーになったのだそうだ。そういうエピソードがあると、もらうほうもなんとなく楽しいが、品質も良かった。香りが高く、実がしっかりしていて硬い。たくさんあったので傷むのが心配だったが、長い間鮮度が下がらなかった。木から直接もいだものだからなのかもしれない。

ところで、リンゴにはアルツハイマーの予防効果があるそうだ。1日1個で、アルツハイマーが予防される。(大事なことなので2度言いました)ただ、日本のリンゴは大きいので、あれを一人で1個食べると、食事が入らなくなるかもしれない。海外の研究だから、小さなリンゴのことなのだと思う。西欧人の大きな手なら指先でつまむくらいの大きさで、丸かじり2.3口で食べ切れてしまうようなサイズだろう。日本のリンゴを1個ずつ食べてたら、予防どころか賢くなりすぎて、もう一度楽園を追放されかねない。その昔「リンゴをかじると歯から血が出ませんか」というCMがあった。あの時代もリンゴは小さかったのだろう。今ならかじりついても皮がむけるだけだ。下手をすると「リンゴをかじると、アゴがはずれませんか?」ということになりそうだ。

ちなみに「旭」という古い品種のリンゴがごく一時期だけ出回る。小ぶりだが気持ちがいいほど真っ赤で、皮だけでなく実の方まで赤く染まっている。実が柔らかく、あまりジューシーな感じではないが、とにかく酸っぱい。それも歯が溶ける感じの酸っぱさで、レモンより食べにくく、好き嫌い以前の「降参」というレベルだ。
だが、これをジュースにすると、じつに旨い。酸味、甘み、果実の香りのすべてが際立ち、他の果物のジュースが寝ぼけた味に思える。まるでウオッカでも入って、キレッキレになったような、文句なしのキング・オブ・ジュースである。運良く旭を見つけ、自宅で絞るほかに飲む方法はないが、その価値はあると思う。