パリとルマンの中間あたりに位置する街、シャルトル。そのソレイユドール通りで長年営まれてきた肉店を紹介するドキュメンタリー。1892年に建てられた赤い大理石をベースにした建物は、フランスの歴史的建造物にも登録されている。
扱っているのは牛と羊だけで、豚や鶏はおいていない代わりに仔牛がある。そのへんが日本の肉屋とは違うところだ。店でしっかり熟成させた肉は小豆色で、筋や脂を掃除して、客の料理に合わせて下ごしらえする。ひき肉を専用の型に入れてから渡すのは、そのままハンバーグのように焼いてしまうのではなく、昔ながらのヨーロッパの肉店のやり方だ。

建物や主人のたたずまいから仕事の仕草まで、ちょっとマネのできないレベルで全てが絵になっている。これも、長い年月をかけて培ってきたものだからだろう。今からマネをしたくても,、おそらく衛生面などでこれと全く同じやり方を新たに始めることはできないだろうと思う。
残念ながらピンソン肉店は現在では廃業し、店だけが残っている。ストリート・ビューでも確認できるが、たとえ文化財として残ろうと、お店というのは商品と店員と客がいなければ抜け殻にすぎない。
