ピザストーン

外出自粛が常態化し時間が余ってくると、身の回りで面白いことを見つけないと不善を為してしまう。外出しないでできることは、むしろ自粛しないでどんどんチャレンジするべきだと思う。

数年前から、ピザストーンを使ってピザを焼いている。ピザストーンはネットで見つけたデロンギ社製のもので、1枚千円台なので、宅配ピザ1枚分より安かった。使い方はオーブンで予熱しておき、ピザを乗せるだけだ。ピザを庫外でトレイに乗せてからオーブンに入れると、トレイ自体が熱くなるまで時間がかかり、下からの加熱が不十分になる。上面は焦げているのに、下面が生っぽいことになる。本職のようにピザ生地だけを滑り込ませるとなお良いのだろうが、クッキングシートの上で成形して、シートごと乗せている。

生地は粉の半分量と水、イーストの全量を入れて、ドロドロの状態のものを数時間発酵させる。冷蔵庫に一晩おいてもいい。イタリア料理でいう、ビガという作り方だ。柔らかさをみながら残りの粉を入れて、時折折りたたみながら寝かせる。持ち上げるのに苦労するくらいの水気の多い生地にすると美味しい。ちなみに粉は中力粉がいい。強力粉のレシピも多いが、それだとパンになってしまう。焼きたてをたべるのだから、いっそ薄力粉でも良いくらいだ。

焼き上げ時間はいろいろなレシピがあるが、家庭用オーブンの最高温度で、上面の焦げ具合を見ながら、なるべく短時間で焼き上げる。水分の多い生地は焦げ目がつくくらい焼いても、中は柔らかいままだ。また、2枚めを焼くときはすぐ入れ替えずに、数分空焼きしてピザストーンを熱する。こうしないと1枚目を焼いてる間に表面が冷えているので、底に火か通らない。やってはいないが、ピザストーンを2枚用意して片方を絶えず空焼き状態にするのも良い方法だと思う。

なろう小説

ネットで「なろう小説」という言葉を見かけるようになった。「小説家になろう」という、小説投稿サイトに投稿された小説のことである。小説投稿サイト自体はかなり昔からあったが、存在がマイナーだった上、質的にも貧弱で、素人ポルノ小説が多かったように思う。それらがいつのまにかれっきとした創作発表の場に成長していて、その代表が「小説家になろう」だったのだ。

かつて小説家は、志望してはいけない職業の筆頭だった。小説家になろうと思ったら、出版社に原稿を持ち込むか送るか、コンテストに応募するしかなかった。「小説家になろう」では、個人が無料で作品を公開でき、閲覧数や人気投票などの総合評価でランクづけされる。投稿者は社会人も多いようで、時折「仕事が忙しくて投稿が遅れた」というような短信がついてたりする。個人生活を犠牲にすることなく、才能のある個人が力試しができる実に合理的な仕組みだ。

このサイトへの投稿が小説として出版されただけでなく、マンガ化、アニメ化までされた作品も、すでに相当な数に上っている。出版社にとっても、読者の評価の高い作品を選んで交渉をすればよく、作家を勘で選ぶリスクは少ない。ウィンウィンである。小説以外にも詩や評論などの投稿もあるようだが、ファンタジーの連載小説が圧倒的に多い。「なろう小説」という言葉には、大量の二番煎じのファンタジー作品を揶揄するニュアンスもあるようだ。

ところで、すでに無料公開された作品を出版するというのは、ちょっと不思議な感じがするが、買う人はかなりいるらしい。出版時には表紙や挿絵にかなり凝ったイラストが入るので、付加価値もついているのだが、マニアは1冊は読書用、もう一冊をコレクション用にするのだそうだ。出版社にとっては夢のような話だ。また、表紙イラストやマンカ化の作者も、どこかにイラストやマンガの投稿サイトがあり、そこから新しい作者が生まれているようだ。
能力のある人が生活に支障を来さない範囲で力を発揮し、直接社会から評価を得て、さらにに大きな仕事をする。この仕組みは、小説家だけでなく、他のジャンルでも隠れた才能を世に出す役に立つのではないだろうか。例えば社会問題について持論を発表し、それに対するコメントと丁丁発止で論戦をする「政治家になろう」もいいかも。

町中華風、あんかけ焼きそばの下ごしらえ

外出自粛が常態化し時間が余ってくると、身の回りで面白いことを見つけないと不善を為してしまう。外出しないでできることは、むしろ自粛しないでどんどんチャレンジするべきだと思う。

昼食の店を探すのに、当たりでなくてもまずいのはいやなとき、よく町中華のあんかけ焼きそばを選ぶ。あの味、特に麺は、家で作っても、スーパーで探しても、なかなか同じようにはいかない。中華麺ではあるが、色が茶色く、汁麺に入っているときより細くしまっていて歯ごたえが良い。揚げた麺もうまいが、それとはちょっと違う。炒め方が違うようにも思えるが、実は下ごしらえが全く違うのだ。

材料はスーパーで売ってる生ラーメン。これを、よく蒸気の上がったセイロに広げ、5から10分強火で蒸す。蒸し上がったら麺がかなり茶色くなっているはずである。これをすかさずたっぷりの熱湯に入れ、30から50秒茹でる。その後、水で冷やしながらぬめりをとり、ザルにあけて、上から手でギュッと押し付けて水を絞る。ラーメン店でやるように、ザルでチャッチャと振るだけでは、全く水気が切れてないので、必ず押して絞ること。最後に胡麻油と醤油を少々ふりかけ、最低でも半日程度寝かして使う。焼くときはあまりかき回さず、片面ずつ焼き色を付けるように仕上げる。

相当手間がかかるが、食べてみれば「ああ、これこれ」と思うだろう。あんのほうは野菜くずでもなんでもいい。手間がごちそうというやつである。下ごしらえしたものは、冷蔵庫なら1週間程度は持つ。茶色くなるのはかん水の働きだと思うが、よくわからない。生麺にもかなり茶色くなるものと色の変わらないものがあるが、茶色くなればなるほど美味しいように思う。生麺の値段も高ければいいというものではなく、特にこだわりのなんちゃらというような能書きのは、うまく仕上がらない。業務用を製造するメーカーものがいいだろう。