ワイアット・アープと言えば、その昔は誰もが知ってる西部劇のヒーローだった。アリゾナの保安官として、クラントン兄弟と銃撃戦を演じた「OK牧場の決闘」は、西部劇にもなっている。主題歌の「いとしのクレメンタイン」も有名だ。最近は西部劇そのものが制作されないので、若い人はあまり知らないかもしれないが。
さて、突然だがここでクイズ。次にあげた人の中で一番若い(生年月日が一番遅い)のは誰か。
1.ワイアット・アープ
2.トーマス・エジソン(アメリカの発明王、電力会社の創立者)
3.ジュール・ヴェルヌ(「海底2万里」などのSF小説家)
答えはヴェルヌ(1828)、エジソン(1847)、アープ(1848)で、ワイアット・アープが一番若い。意外に最近の人だったわけだが、OK牧場の決闘も1881年のこと。明治維新(大政奉還)が1848年だから、なんと明治13年のできごとだ。西部劇というのは明治時代の話だったのだ。日本が海外に遅れじと文明開化を目指していた頃、アメリカの西部は銃でケリをつける、あまり文明的でない社会だったことになる。
WIKIPEDIAによれば、アープの実像もヒーローとは程遠い。20歳の頃バッファロー狩りで生計を立てガンマンとして有名になり、カンザス州ウィチタやドッジシティの保安官事務所で働くが、仲間と口論になったり、やり口の荒っぽさから追放されている。その後アリゾナ州トゥームストーンに移住し、農業や賭博の胴元や、売春宿の経営者になった。OK牧場の決闘は、兄がこの町で保安官になってから起こった。
OK牧場の決闘は、映画のようにめでたしめでたしでは終わっていない。アープたちは殺人罪で起訴されたが無罪。これに不服なクラントン兄弟はアープの仲間を闇討ちし、アープは駅の構内で相手側の主犯格を撃ち殺す。その後も保安官同士で相手を付け狙ったり、返り討ちにしたり、逃亡したりと遺恨まみれだったという。今だったらとうてい映画のヒーローにはなれないような人物だったらしい。
