自家製マスタード

自家製のマスタードはうまい。輸入もののマスタードは甘さや香りが良いが、あまり辛くない。日本のカラシに慣れていると、どうも辛さが物足りないのだが、自分で作るとちゃんと鼻に通るようなものが作れる。

材料はマスタード・シード(カラシの種)と、酢、塩だけ。ガラスの保存容器などを煮沸消毒し、マスタード・シードを入れて、塩、酢を注ぐ。マスタードは酢を吸って倍以上に膨らむので、分量は容器の1/2以下にする。酢の分量は、最初はマスタードより水面がちょっとだけ高くなるくらいに。1時間もすると酢を吸い込んでマスタードの表面が露出するので、またちょっとだけ酢を足して放置する。これを何度か繰り返すと、それ以上吸い込まなくなるので、ミキサーでペースト状にする。粒の残り具合はお好みで。

ちょっとずつ酢を足すのは、そうしないと限界まで膨らまないため。以前最初からたっぷりの酢を入れたら、あまり膨らまず、ミキサーにかけてもかなり硬い粒が残ってしまった。酢は米酢を使うとうまい。洋風の食品なのでリンゴ酢やワインビネガーのほうが合うかと思ったが、味わいが足りなかった。塩は腐敗防止に、念のため入れている。酢が効いてるので、入れなくても大丈夫だとは思うが。
また、酢を吸わせているときにクローブやシナモンなどを入れておき、ミキサーの前に取り出して香りをつけると、洋風の上等な感じのマスタードができる。それらの香辛料と一緒に砂糖を加えるレシピもある。が、入れなければ和洋中何にでも使える。

ミキサーにかけてペースト状になったら、皿などにあけて、なるべく空気に触れるようにさせて室温で数時間~1日程度放置し、発酵させる。マスタードは発酵食品なのだ。室温に放置するのはちょっと不安だが、室内に目を刺すような揮発成分が立ち込めるので、まず、あの中で繁殖できる細菌はいないだろうと思う。

自家製マスタードのからしバターを塗ったサンドイッチは絶品だ。ドレッシング類も切れ味が出てくるし、おでんにも使える。ワサビや唐辛子よりも使い勝手がいい。ちなみにマスタード・シードは発芽する。水につけておけば、スーパーなどで見かけるスプラウトができる。

⇒ 自家製マスタード付記(2024/4/30)
⇒ マスタードのテンパリング(2024/9/17)

一生のお願いをしてみよう

誰かに、一生のお願いをしたことがあるだろうか。子供時代におもちゃか何かを買ってほしくて言ったかもしれないが、大人になってから、まともな理由でした人は少ないだろう。これまで、そこまでしなくて済んでいれば幸いだし、連発するのもどうかと思う。

だが、いい歳になったのだから、せっかくなら、そろそろ周囲の人に対して、一生のお願いを使い切ってしまうのはどうだろう。金の工面というような生々しいのではなく、何度も頼むにはちょっと図々しいが、1回だけなら、そんなことで良ければと相手が喜んで応じてくれるようなお願いだ。これをするには相手との距離感の見極めが大切だし、同様のことを自分にも遠慮なく言ってくれと言うのをわすれてはならないが。
一生のお願いなどと軽々しく口に出してはいけないが、歳を取ると時間の経つのが早く、人間関係もこれといってドラマのないまま、なれ合いで過ぎてゆく。日々の生活が軽々しいようではつまらないので、手頃な刺激を与えて、もう少し人間関係に重みを持たせるのは悪くないと思う。特に誰かと小さなわだかまりがあるときなど、解決するのにちょうどいい口実かもしれない。
逆になにかのときのために、一生のお願いを取っておくというのも、なんだかみみっちい。だからそろそろ一生のお願いを使ってしまうのは悪くないと思う。

T型フォードの修復

T型フォードは、1908年の発売以来1700万台が製造された名車で、世界初の流れ作業ラインが採用されるなど、技術、産業、経済史の上でも記念碑的な製品だ。そのスクラップを走行できるまでに修復する動画である。


(シリーズ全編の視聴はYoutubeで)

ボディや車輪のスポークは木でできていて、馬車の名残がある。かと思えばドアにはウィンドウガラスを上下する仕組みが備わっている。すべてが簡素にできているので、分解、組み立てを見ていると、車に詳しくなくてもなんとなく構造や仕組みがわかってくる。修復にあたっているのは一人で、機械や金属の知識があるのは当然だが、木工やミシンがけ、椅子づくりまで一人でこなしてしまう。機械の力を使いこなす現代ならではのマルチ職人というところだろう。最後にドライブ映像があり、運転のしかたを説明しているが、室内は運転席と言うより押し入れに入ってるようだ。運転した感覚は自動車というよりトラクターだそうで、丘を登るときと下るときは違うとか、普通のブレーキはきかないとか、日本語字幕にすると解説も面白い。