初心者、とは言えないほど長く楽器をいじってるくせに、さっぱり上手くなってない人間のことを、「下手の横好き」というような愛のない言い方ではなく、ソフトに表現する言葉はないだろうか。今の自分はまさにその状態だが、それなりに「十八番」もできた。
とはいえまだ人に聞いてもらえる状態ではない。楽譜などを見なくてもバック演奏音源になんとかついていけるという程度だ。何度やっても乗り越えられない難所はないものの、ちょくちょく間違える。十八番と言ってもその程度だが、自分にとっては愛着のあるレパートリーが、「テネシー・ワルツ」と「All of me」である。
テネシー・ワルツは、3拍子なのでやりやすい。3拍ごとに流れの切れ間が来て気持ちに余裕ができるのだが、そのでいで4拍子よりずっと気楽だ。またこの曲は古い民謡で著作権などないと思いこんでいたら、私が99歳になるまで著作権が保持されるとしって、パブリック・ドメインに関心を持ったきっかけの曲である。
「All of me」は、知ってはいたもののそれほど興味がなかったが、いろいろなアーチストの演奏動画があって、アレンジがしやすい曲だと知った。弾いていて飽きがこない、演奏が楽しい曲で、いつのまにか十八番になっていた。ただし、古いと思っていたがこれもパブリック・ドメインではなかった。
それ以外にもチャレンジしたが、未だモノにできずにいる曲が多数ある。楽譜や音源で簡単そうに思えた曲が案外難しかったりする。モノにできない一番の原因は運指で、バイオリンはネックが短いので指がとどく範囲は広いが、その分狭い範囲で指を切り替えなくてはならないので、すぐ指が交差してしまう。独学でなければ運指を先生に教えてもらえるのだろうが、そのへんを自分で考え出すのも楽しみのひとつではある。