プーさん大暴れ

あいかわらず、プーさんが大暴れ中だ。が、思ったより弱い、何が目的かわからないなどの声が上がる中に、古臭いという感想も多い。米と並んで最新・最強を誇っていた戦闘機が、情報戦に遅れをとって簡単に落とされてしまい、自軍の動きは住民のSNSで事細かに把握されてしまう。まるで20世紀の軍隊のようだ。
昔だったら、先遣部隊が乗り込んできた段階で、背後に控える大軍におびえて相手は戦意喪失。指導者が亡命し、代わりに立てた傀儡を、国民が旗を降って受け入れる。そんな20世紀風のファンタジーが、プーさんにとっての正道、あるべき姿なのかもしれないが。

かつてヒット商品を生み出し、時の人になった企業の社長が、その後倒産。小規模ではあるが同じような会社を立ち上げる。そして意気揚々と、かつて毎日のように頭を下げてきた業者のもとに乗り込んだら、受付でそっけない応対をされる。そんな場面を想像してしまった。

私はプーさんと歳が近い。周囲に見慣れないものが増え、聞いたことのない言葉が増えていくような気持ちはわからないではない。が、私は骨董品なりの生き方をすればよいが、政治家はそれではいけない。常に最新の状況を受け入れつつ、さらに自分がいない未来のことまで考えなければ、国民が不幸になる。とりわけ引き際を間違ってはいけないのだ。

テロリス
“TERRORIS” Russian Terrible Game

パンチェッタ

パンチェッタを作った。イタリア式の豚バラ肉の塩漬けである。新しい郊外スーパーに行った際に、ロール状に巻いてネットをかぶせたバラブロックが売られていた。パンチェッタを作ってくれと言わんばかりなので、試してみたのだ。

パンチェッタは、バラ肉にたっぷりの塩や香辛料をまぶして数日間冷蔵庫に置き、塩を洗い流して紐を結んで室内に吊るしておくだけで出来上がる。肉の塩干食品である。生肉を室内に放置するのは危険に思えるが、冬の北海道ならけっこう寒い空間もあるのでまず問題ない。これに燻煙をかければベーコンになる。ベーコンと違ってまず売っていないし、通販ならあるが外国製なので高い。

スパゲティ・カルボナーラは、本場ではベーコンではなくパンチェッタで作る。パンチェッタを最初に炒めて脂を出し、でんぷんの混じったパスタの茹で汁を入れ、脂を乳化させてクリーム状のソースにする。料理に使わずにそのまま食べてしまうこともあるようだが、ちょっと怖いので自家製ではやらない。

自作したパンチェッタは、既製品のベーコンなどに比べるとはるかに旨い。近年話題になったドライエージングと同じで、無味のタンパク質が分解されてうま味の元のアミノ酸に変わるのだ。既製品のベーコンは注射で肉の内部に調味液を押し込み、煙の代わりに燻製液に漬けただけなので、旨さの次元が違う。料理に使えば、鰹節のようにダシになってくれる。

日本は魚で、欧米は肉の食文化と言われているが、考えてみれば冷蔵庫がなかった時代に精肉店で生肉を買えたとは思えない。西欧でも近世になるまでは、一年を通じて塩漬け肉を食べていたはずで、西欧料理もそこに原点があるような気がする。
※試してみても後悔はしないと思うが、あくまで自己責任で。やるなら、手や食器をアルコール消毒してからのほうがいいかもしれない。

壽七五三(ことぶきしちごさん)

七五三は、3歳、5歳、7歳の子供の成長を祝い、これからの豊かな人生を願う行事である。自分がやらなかったので、あまり印象はなかったのだが、先日なにげなく千歳飴の袋を見て意外なことに気がついた。子供向けの絵柄だろうと思っていたが、実は翁(おきな)と媼(おうな)の絵、能の演目である「高砂」のジジババの絵だった。

「千歳酒」にしようかと思ったが、非常に近いメーカーがあるので、とりあえずパス。そこでやればいいのに。

高砂といえば、今はやらなくなったが昔は結婚式で必ず歌われていた。そう考えるとかつての日本人は、七五三から結婚式まで、高砂でその長寿を祈られていたのである。だとしたら、つつがなくジジババになれたら、その旨を神様に報告する儀式があってもいいだろう。そこで75歳3カ月になったら、長寿祝いの七五三詣でをするのはどうだろう。喜寿、古希などの家での祝い事とは別に、神前に詣でて、お祓いを受けるのである。その際、なにか象徴的な儀式もほしいので川柳を一句詠んで奉納するというのもいいかもしれない。この際、なかなか着る機会のない紋付き袴や留袖を着るのもいい。また、千歳飴を持ってないと様にならないが、中身は酒がいいだろう。