野望!

60歳でヴァイオリンを始めた時、「いつかはストリート、そしてコンサートホール。目指すだけなら今でもできる」と自分に気合を入れた。微塵も可能性がないと、かえってそういうホラが口にできるものだ。が、練習し始めて現実に直面すると、人前で演奏など滅相もないと思うようになった。せめてカラオケで気分を変えて練習をと思った矢先に、コロナの感染拡大が始まった。三密ならぬ一密だからリスクは低いだろうけど、カラオケで高齢者のクラスタが続発していたので断念した。
そのうち、練習内容を少しランクアップさせて、youtubeの伴奏音源に合わせることにした。そしてデルタが収まり、感染者ゼロが続いていた頃、楽器店の貸しスタジオへ行ってみた。USBで持ち込んだ伴奏音源をスタジオのアンプで流すと、ヘッドホンで聞くのとは違って、自分の音と伴奏がひとつの空間で調和している感じがする。また、ヘッドホンだと伴奏に追い立てられるような気分になるが、アンプからだと、きちんと聞いて合わせる余裕ができるような気がする。さすがスタジオは、一味違っていた。

これはいいなと思ってたら、オミクロンが始まってしまい、スタジオも足が遠のいてしまった。ネット上のジャズ・バイオリンの指導サイトからは、しきりにZOOMの対面レッスンを売り込んで来るのだが、相手はバークリーの先生とあって、さすがに敷居が高い。そのうち暖かくなって規制も緩和されたので、またスタジオに通おうかと思っていたところへ、とんでもないものを見つけてしまった。なんとジャズ・クラブで、プレイフィーを払えばプロの伴奏がついてくれるところがあるのだ。これはやってみたい。プロのジャズメンは概して素人に優しいから、こちらのレベルに合わせてくれるはずだ。ピアノトリオが揃わなくても、ドラムだけ、ベースだけでも、しっかりと伴奏をつけてくれるに違いない。ただ、居合わせた罪もないお客さんに、無差別に雑音を浴びせるのは心苦しい。なるべく空いてる時間がいいのだが。

小さなジャズクラブの開店前の、まだテーブルに椅子が乗っているホールの奥。そこだけライトの灯った一角で、他のメンバーと音合わせをする、年老いたジャズ・バイオリニスト。これはいい。練習にも気合が入るぞ!

2022年版 パブリック・ドメイン名曲集、ダウンロード用データのご紹介

パブリックドメイン名曲集のダウンロードデータ(2022年版/excel形式)を作成。ご希望の方は下記のバナーからどうぞ。

当サイトで一番来場者数の多い、「パブリック・ドメイン名曲集」の2022年版を公開する。ネタが出尽くしてきたため作品数はそれほど増えてないが、動画が削除されているものなどはできるかぎり貼り直した。権利関係も厳しくなってきているから、これからも削除は増えていくのだろう。中には「ブルーベリー・ヒル」のように、削除したくなるのも無理もないと思えるものもある。(※探せばまた出てきたのも動画サイトならではだ)たった1年でも、時の移り変わりを感じる。

米露開戦/トム・クランシー

GW中に、今のご時世にピッタリのハイテクサスペンス「米露開戦」(トム・クランシー著)を読んだ。タイトルは米露とあるが、邦題は日本の出版社の創作で、ロシアのウクライナ侵攻を撤回させて米露開戦を未然に防ぐ話である。もちろんフィクションもいいところで、ロシアはボロディン大統領、アメリカは、なんと著者のデビュー作「レッドオクトーバーを追え!」の主人公、ジャック・ライアンが、大統領になっている。

トム・クランシーといえば、リアルなハイテク軍事知識に基づいた国際サスペンスという、新しいジャンルを切り開いた作家で、軍事関係者にも愛読者が多い。フィクションながら、国際政治に今何が起こっていて今後何が起こりうるか、読者に考えさせる作品が多い。初版は2013年で、これが作者の遺作となったが、翌年には果たしてロシアのクリミア半島侵攻が始まっている。

作者はアメリカ人だけあって、”ボロディン大統領”に対する強い警戒感や忌避感が伝わってくる。とりわけロシア系マフィアとのつながりなどは、これはフィクションといい聞かせながら読まなければならなかったほどだ。