来年もよろしくお願いします

今日は大晦日。ちなみにこれは12月の上旬に予約投稿したもので、当初「今年もろくでもない年だった」と書いてあった。が、ワールドカップで日本代表がドイツとスペインに勝って、グループリーグを1位通過。総合9位に輝いた!夢にも思わなかったが、監督や選手は、さらに上を考えていたようだ。これまた夢にも思わなかったことだ。Jリーグ開幕時、「百年構想」というスローガンを知り、頼もしく思うと同時に、自分の目では見られないのだと思っていたものを、垣間見る事ができた。今年のワールドカップは史上最高のスポーツ大会といわれているらしい。その新しい歴史を作ったいくつかの名試合のなかに、日本の戦いも数えられている。私は、とりわけスペイン戦の逆転ゴールは忘れられない。判定がどうのという声もあるが、後が無いと思っても走り続けなければ判定さえしてもらえないということを、この歳であらためて学んだ。

来年も「良いお年」と言えるような状況ではないかもしれない。さらなる値上げと増税が待ち構えており、戦争もパンデミックも、終結するかどうか不明だが、だからこそ生きる張り合いがあるというものだ。

SING/シング

近年は、冬はサブスク映画を契約することにしている。作品は玉石混交だし時間もないので通年契約するほどでもないが、間を置くと作品が入れ替わっていて、高評価で気になっていた作品などを追っかけ鑑賞できるのがいい。

「シング」は2016年公開、フルCGのミュージカル・コメディ映画。動物が人間のように暮らす世界の、劇場主と歌に魅せられた者たちが織りなす、ハートウォーミングなコメディだ。一見子供向けのようだが、暴力金貸しや窃盗団、カジノと夜の女など、キャラクターや舞台はなかなかの大人風味。主人公も借金まみれで電力を止められ、お隣から盗電するなど、「良い子はマネしないように」ぶりである。

タイトルの通り歌がテーマで、60曲もの名曲が挿入されている。かなり幅広い層の観客が、懐かしく馴染み深いメロディに出会うだろう。最近のCGキャラクターは緻密に作られていて、表情もしぐさも実に豊かなので、まるで脇役まで名優で固められているかのようだ。さらに、延々と続く市街地のセットをわずか数分の一秒で通り過ぎたり、様々な動物で大勢の観客を作ってそれぞれ違う反応をさせたりと、贅沢に手間ひまをかけて作り上げられているので、歌中心のシンプルなストーリーが生きてくる。

劇中で、ネズミのマイクが歌い上げる「マイ・ウェイ」の動画があった。帽子とイントロでシナトラ版のカバーだとわかる。歌だけでなくサックスも上手いマルチなエンターテイナーだ。

ちなみに2016年には、続編の「SINGネクストステージ」が公開されている。前作のメンバーがラスベガス(?)の豪華ホテルで、大がかりなショーを繰り広げる。現実のステージでは不可能な演出が見ものだ。単なる続編以上の良い出来で、これでシリーズとしての地位が確立されたと思う。

がんばれ本場のクリスマス

昨日はクリスマス。早いところでは11月ころからクリスマスの飾り付けや店内BGMが流れるが、アメリカでは公共的な部分から徐々にクリスマスらしさが排除されているという。「メリークリスマス」の挨拶をやめて、「ハッピーホリディ」が増えているし、以前はよくわからない「ハッピークワンザ」というのもあった。そのうちこの時期は、日本のほうがクリスマス気分一色ということになるかもしれない。

日本のクリスマスは賑やかで商業主義ど真ん中のアメリカ流だ。クリスマスが舞台になった名作映画や名曲も、なじみ深い。だから本場のクリスマスが色あせていくのは少々寂しい。実際のところ、向こうのイスラム教徒やユダヤ教徒などは、クリスマスシーズンをそれほど腹立たしく思っているのだろうか?少なくとも仏教徒は気にしてないか、楽しんでるんじゃないかと思う。キリスト教やクリスマスのエッセンスの部分だけでも、残して行くのが文化というものだろうと思うのだが。

アメリカは、大統領が片手を聖書の上に置いて就任宣言を行う国で、これには実に重要な意味がある。任期中に大統領が亡くなったり、誘拐されたり、精神に異常を来した場合、副大統領がどこにいてもそこらへんから持ってきた聖書に手を置き、就任宣言を行って政治の空白を防ぐのだ。
これが独裁国家なら、トップに万一のことがあれば、熾烈な跡目争いが始まるだろう。アメリカ大統領は国民から選ばれた役割のひとつに過ぎないので、職務遂行が無理なら別の人に代わる。それだけの話である。副大統領も、二番目に権力の大きい地位というわけではなく、万一の際のスペアの意味が大きい。
つまり聖書というのは、この極めて民主的な手続きに重要な役割を果たしている。それほど大げさなものではないにしろ、クリスマスやサンタクロースだって、十分にアメリカの良い部分を象徴しているように思うのだが。