門と通用口

武家屋敷の門は通常は閉ざされていて、来客は脇の通用口から出入りする。たまに時代劇などで門の外に門番が立っている描写があるが、実際には脇の通用口の内側にいて、槍を構えていた。武家屋敷の客は武士が多く、刀を差していて危険だ。不審な客に対しては、動きがとりにくい通用門を通ってるところを、槍で突く。

それに対して客は、脇差しを鞘ごと外して頭上にかざして通用口をくぐり、槍を突きつけてきた瞬間に抜いて穂先を切り落とす。一方門番も、槍を使えるなら棒術もできるので、穂先を落とされても、刀にひけはとらない。さらに短く斬られても杖術を駆使して相手取る。

というようなこともなく無事に座敷に案内されたら、客は入り口の刀掛けに刀を預けるか、外して体の右側に置いて座る。左側に置くと抜きやすいので、反対側に置くことで敵意のないことを示すためである。ところが以前、座ったまま右側に置いた刀の鍔を後ろから叩いて刀身を飛び出させ、そのまま斬りつけるという動画があった。武家屋敷の門をくぐれば油断は許されない。戸板一枚が生地と死地の分かれ目である。

武家屋敷とは違って寺の門は聖と俗、生まれ変わりの象徴である。以前福井県の永平寺に行ったことがある。山門は開かれたままだが、一般客や参拝・観光の客は脇の入り口を通らなければならず、真ん中を通れるのは朝廷の使者と修行僧だけだ。郷里から新しい墨染の衣に身を包んで出立した少年僧が、旅路の果て、ようやく装束が板についてきたころ、山門の真ん中を通って修業場へ向かう。山門は何百年もの間、彼らの初々しい不安と覚悟を受け入れ続けてきた。

ポップオーバー

ポップオーバーは中身が空っぽで、シュークリームの皮の部分だけのようなパンだ。小麦粉、玉子、牛乳をまぜてオーブンで焼くだけでできる。シュー皮だけむしって食べたいという人にはうってつけだ。


ポップオーバーのレシピ
(材料)
・小麦粉 50g(薄力粉、または中力粉、または適当にミックス)
・玉子 1個または2個
・牛乳 200g
・植物油 10g(忘れて入れなかったときもなんとかなったが)
(作り方)
・材料を室温にして、よく混ぜる
・金属製のプリン型等の内側に油を塗って、オーブンに入れ210℃に予熱。
・オーブンがあたたまったら、材料を型に半分くらいずつ入れ、15分焼く
・オーブンの扉を開けずに180℃にしてさらに15分焼く
・オーブンの扉を開けずにそのまま10分置く
(コツといましめ)
材料はかなり適当で良いが、途中でオーブンの扉を開けないこと。開けるとその場でしぼんでしまって、情けないものが出来上がる。210℃の高温で一気にふくらませたいので、材料が冷えていると膨らみきらない部分が多く残る。210℃焼きの期間でほぼ形が決まるので、その後180℃で固めて最後の10分間でしぼまないように内部の蒸気を抜きクールダウンさせる。小麦粉は薄力粉はサクサクにしあがり、中力粉はもっちりした部分ができる。

(型について)
ポップオーバー専用の型やマフィン型もあるが、百均のプリン型が手頃だ。大きなものではないので、百均としては高い感じだが、ずっしりと重く、内面外面ともに細かいエンボスが入っていて堅牢なつくりだった。

ポップオーバーはその昔、「堀井和子の気ままなパンの本」というレシピ本で知った。それまでのレシピ本は出来上がりの盛り付け写真や、途中手順の連続写真にレシピの文章が書いてあるだけのものが多かったが、この本はペンでささっと書いた挿絵とごく簡単なレシピのほか、ニューヨーク生活のエッセイなどが書いてあった。上記の変な絵はそのマネである。
シンプルな編集が新鮮で、しかも紹介しているのがベーグルやピタブレッド、小麦粉のトルティーヤ、ポップオーバーなど、後にカフェめしのネタになった素朴で洒落たパンばかり。このスタイルは流行るんじゃないかと思っていたら、案の定だった。時代はバブル崩壊の直前、豪華でリッチなものがあふれかえった反動として出てきた、シンプル志向の走りだったような気がする。.

AI画像生成でシド・ミード風を作ってみた

先日AI画像生成を試してみたら、なかなか良くできていたので、違うタイプのものを作ってみた。工業デザインや映画のコンセプトアートの巨匠、シド・ミード風である。今ならCGを使うだろうが、当時はリキテックスの手書きなどで、独自のシャープなフォルムや透明感、光沢を表現した。映画「ブレード・ランナー」の車や街並みのデザインも彼の仕事だ。以降、自動車のコンセプトカーのイラストなどは、ほとんどがシド・ミード風になった。

なかなかそれらしい。特にアングルがよくできているが、地表に落ちた影はかなり適当だ。
遠景に霞んで見える極超高層ビル。いかにもシド・ミードの描く未来の世界だが、パースは合ってないようだ。
霞んだような遠景と近景の対比がなかなか堂に入ってるが、手前にあるのが船か飛行機か不明。あくまで雰囲気中心だが、ヒントにはなるだろう。
背景はそれらしいが、車がいまいちなのはしかたがない。

AIだけではさすがに食い足りない感じがするので、本家へのリンクも貼っておく。