肩こりとアキンボ

最近よく肩が凝る。本来は肩の凝らない体質だったので、けっこうつらい。昔、合気道に通っていたとき、師範から肩の関節技をかけられたことがあったが、相当力が入っても、全く痛くなかった。師範は「まれにこういう体質の人がいて、かかったフリをして油断させるので気をつけるように」と言い、私もいざというときはそれでいこうと思っていた。が、良いことばかりではなく、野球の遠投やスピードボールがうまく投げられなかった。多分肩が凝らないのも関係していたのだろう。

が、そんなささやかな長所も寄る年波には勝てず、凝るようになったのだが、慣れてない分辛い。原因を検索すると、加齢、運動不足、冷え、悪い姿勢、ショルダーバッグ、PCなど目の使いすぎなど、全部当てはまる。とりわけぶら下がった腕の重みが肩にかかり続けるのが悪いらしく、長時間立ってるだけで凝ってくる。いろいろな姿勢をとったり、ヨガの動画を試したりしたが、英語でアキンボと呼ばれるポーズだと長時間立っていても楽なことに気がついた。

両手を腰骨にあて左右に肘を張り、肩にかかる腕の重みをささえて、下から押し上げる。威張ってるように見えるので、日本人はあまりやらないポーズだが、背に腹は替えられない。とっつきづらく見られるかも知れないが、これを機に偏屈爺いキャラでいこうかな。

名曲世界遺産

当サイトではパブリック・ドメインの名曲を紹介しているが、いまだに音楽の権利関係がよく分からない。昔は作曲者の死後20年程度ではなかったかと思うが、現在はTPP締結によって70年まで延長されたという。こうなるとどの曲がパブリック・ドメインなのか、プロ演奏家でもわからないだろう。例えば、アーチストがステージで予定にない曲を演奏したくなったら、まず弁護士に問い合わせろということだろうか?そして、そもそも作曲者はそんな状態を納得できるのだろうか?

音楽家は世事に疎い人も多いから、周囲のものが権利を守らなければならないというのはわかる。でも、死後までというのはどうなんだろう。自分の曲が一切の制約なく人々に親しまれてほしいとは思わないのだろうか。一世を風靡してひと財産稼いだなら、子孫は築いた資産を受け継いで運用すればいいだろうし、それほどでもない曲ならそもそも大した金額は産まない。子孫や権利の購入者まで引き継がなくてもいいのではないだろうか。長い保護期間の間に忘れ去られてしまえば、あたら名曲を抹殺してしまうことになる。

そこで「名曲世界遺産」という制度を考えた。一定以上ヒットした曲は、権利者が望めば「名曲世界遺産」として登録され、同時に権利が消失するのだ。もちろんアテが外れる人も出てくるだろうし、逆にファン団体から登録するように圧力がかかるかもしれない。が、そんなひと騒動こそ作曲者冥利というもの。世界中いたるところで、感謝とリスペクトを込めて曲が演奏されるというような光景を、当人が生存中にみることができるかもしれない。そして、バブル超えの株価に湧く日本企業が、なんとあのビートルズの名曲を買い取り、世界遺産として解放してしまってもいいのだ。

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スマホと世界情報帝国

私は未だにスマホではなく携帯を使っていて、それもメールの送受信サービスは使っていない。NTTから携帯の使用状況の定期連絡が来て、「メールを全く使っていないようなので、データ通信契約分だけを解除してはどうか」とお勧めされた。なるほど親切なものだなあと、その通りにしてもらったのである。もしスマホを持ってしまったら、街中で看板やポスターを見かけて3歩歩くごとに検索するに決まっているので、「井原西鶴歩き連歌」になってしまう心配もある。
※西鶴ではなく、曹植だったかもしれない。最近は検索エンジンの性能が落ちてるので、うまく探せない。しかもAIは信頼度が低く、代替手段に使えない

携帯電話が登場したとき、我々の先輩世代は一斉に飛びついた。これこそ情報化、合理化、システム化であると。だがシステム化というのは、機械を導入することではなく、人間側の情報ルートを整理することだ。当時の一般的な通信手段は固定電話、FAX、電子メール、さらに手紙やハガキ、電報もあったが、既存の通信手段を廃止することも、受信側の体制を強化することもなく、携帯通話と携帯メールが加わったのである。

ビジネスには、上司と部下、得意先と業者というような上下の関係が必ず存在するので、「上」のものが、思いついた時にすぐ伝達して責任を振ってしまおうというなら、たとえ迷惑でも受け入れなければならない。「下」の者の立場から言えば、それで上司や顧客の覚えがめでたくなるならOKである。ただしビジネスの全体を見なければならない「上」の立場はそうはいかない。
情報システムを使うには、情報を流す前に調査・整理し、有用な情報だけを最善なタイミングに絞って送信する必要がある。つまり、上司、得意先が事前に仕事をしなければ、情報機器は使えば使うほど情報が輻輳し、全体がどんどん非合理化されていく。わかってる企業は電子メール導入を機に、業務日報を廃止したりしていたが、多くのエラいさんは思いついたその場で部下や業者に電話して、事足れりとするようになってしまった。ビジネスの上位者がこぞってバカになり、さらに世代交代や改革を担うべき世代を採用しなかった。この期間はちょうど日本の空白の30年と一致するが、脳みそが空白になったのだからしかたがない。

その昔、モンゴルは「ジャムチ」と呼ばれる馬と割符を利用した情報通信システムで、歴史上屈指の大帝国を築いた。割符でさえそこまで出来たのだから、世界ネットワークにつながったスマホなら、本来上手に使えば世界情報帝国も夢じゃないはずなのだが。