最先端の科学技術も、突き詰めると常識的な理屈でできていることが多い。特に宇宙船のような過酷な環境で使う技術は、できるだけ簡単でわかりやすく、安定した技術が採用されている。高度なシステムが単純な理屈でできていることを知るのは、気持ちがいいものだ。
宇宙船にはさまざまな箇所に断熱材が使われている。断熱材といえば発泡スチロールのようなものを思い浮かべるが、樹脂などに空気やガスの泡を封入すると真空中に持ち出した時に膨張する。多分ボロボロになってしまうだろう。魔法瓶でもわかるように真空は最高の断熱材だが、地上で「真空の泡」は作れない。さて?堂々巡りになってしまった。
そこでChatGPTに聞いてみたところ、泡というより、無数の空気の隙間のある構造を作り、それぞれの空間を密閉しないようにしておくと、宇宙に出る際に自然に空気が抜け出て真空の断熱層ができるのだという。もちろん実現には高度な調整技術が必要だろうが、理屈は、当たり前とも言えるような、すごく簡単なことだった。
それでは逆に、宇宙空間はどこもかしこも断熱されているようなものかといえば、それであたってる面もあるらしい。空冷が効かないので、むき出しになっている装置でも、どんどん熱がこもってしまうこともあるそうだ。さらに人工衛星そのものも、地表のように大気で緩和されていない直の太陽光線を浴びせられ、表面が摂氏100~150度にもなり、地球の陰側に来るとマイナス100~150度まで冷える。これを例えば90分に1回、地球を1周するごとに繰り返しているらしい。
宇宙と言うと、暗く、全てのものが冷え切った絶対零度の世界と思っていたが、宇宙船や人工衛星はけっこうホットな存在らしい。


