ガラケー最後の日

携帯で通話すると、来年の3月で今の通信が使えなくなる旨のアナウンスが入るようになった。厳密に言うとFOMA通信のサービスが終了するということで、スマホに変えなくてはならないわけではないらしいから、ガラケー最後の日ではないかもしれないが。

私はスマホ、ガラケーを問わず、携帯通信が嫌いである。固定電話でさえ相手もわからずに呼び出されるのは愉快ではなかったが、トイレ中に携帯にかかってきたときは、どうしろと言うのだと思った。なのでPCのメールが普及し始めた頃は大喜びだった。好きな時間に送信しておき、都合の良い時間にまとめて確認して、しっかり調べたうえで返信する。双方に証拠が残って、言った言わないがなくなる。送信側も文字にするひと手間があるせいで、内容が吟味される。これぞ連絡業務の効率化、生産性の向上そのものである。日本のビジネスも進化する...。

そう思っていたら携帯メールの時代になり、メールにすぐ返信しないと怒る人があらわれ、なんだかそれがマナーのようになってきた。なんじゃそりゃ?怒るのは上司だったり顧客だったりするので、すぐ連絡が取れるアピールは営業戦略上こちらに損はないものの、ビジネス全体の生産性という点では後退だ。つまり、損をするのは上司だったり、顧客である。
まして当時、大手通信会社からインターネット前夜のVANやらISDNやらによる企業通信の取材と記事を請けていて、通信システムによる合理化と生産性向上をPRしていたのだが、他ならぬ取材チームのなかに、思いつきメールを放り込んできてすぐ返信を求める連中がいたのである。取材で何を聞いたのかと言いたかったが、これは技術や知識ではなく、世代の問題なのだと思った。

我々より先輩世代は携帯電話が大好きだった。さらにその上の世代のときに自動車電話が誕生し、一部の選ばれた人が使っているのに憧れたのだと思う。何か思いついたらその場から連絡。
「例の件は進んでいるかね。うむ結構。その調子で頼む」
かっこいい!!!という感じかな。

ちなみに私は携帯メールを一切使わないでいたら、親切なdocomoのサポートさんから、使わないならデータ通信サービスは解約してはどうかと提案され、そのとおりにした。その後世の中にはさらに通信手段が増えた。ブログ、FACEBOOK、TWITTER、LINE、あとなんだっけ?コミュニケーションツールの多様化で、武器が増えたと思う人もいるのだろうが、「火力分散愚将の常」ともいう。
で、どうしよう。新しい通信で使える最新のガラケーもあるそうだから、それにするかもしれないが、いまどきスマホにしない非常識な人間は、自分とビル・ゲイツくらいかもしれない。

ドメイン解放大作戦

あるサイトのドメインが、ドメイン業者にロックされた。ブロックリストのサイトに登録されているという理由で。事前に警告は来ていたがGW中のことであり見過ごしてしまったという。解除の手伝いをしたので、その顛末をご紹介したい。

ブロックリストは、世界中の100社近いセキュリティ業者による安全性の判定を集めたもので、ドメイン名やURLを入力すると、それぞれの業者による「phishing」や「clean」などの評価が一覧表示される。今回の場合は10社ほどの警告が表示されていた。そこでさっそくサーバーのサポートと連絡して不審箇所を取り除いた後ドメイン業者に連絡したが、まだブロックリストに載っていると繰り返すばかりで、解決のヒントももらえない。なので自力で解決法を探すしかなかったが、それからが苦労だった。

解決法はリストに載っている業者に1社ずつ連絡して、サイトが浄化されてることや誤った「陽性」の判定を再チェックして貰うこと。だが、これはIT関連業界に共通する傾向だが、サイトに問い合わせ用のメールアドレスやフォームをわかりやすく明示していないところが多い。まずはQ&Aを読み、続いてAIの応答を読んで始めてサポート宛の送信フォームのアドレスが判明する。人材不足とネット関連トラブルの増加、そして未経験なユーザーの増加などでサポートは危機的な状況なのかも知れない。思いつきだけの低レベルな問い合わせは、途中でくじけて断念して欲しいといわんばかりだ。
国内のドメイン業者でさえそんな状況だから、海外のセキュリティ業者のサイトはもっとすごい。問い合わせフォームがものすごく深い場所にあったり、それらしいリンクが自社製品の注文ページに誘導されていたりする。また、あるにはあるが、どの自社製品の顧客であるか選択する項目が記入必須で、しかも「その他」や「非顧客」の選択肢がなかったりする。

そこでChatGPTに問い合わせてみたら、業者ごとの問合せフォームやメールアドレスを見つけ出してくれ、具体的なURLの解除願いの英文文例まで作ってくれた。さらに、上記の選択肢がない問題でも、とりあえず何でもいいからどれかの製品を選択した上で、コメント欄に「実は顧客ではないが、間違った登録を解除して欲しい」と書くのが正解だと教えてくれた。小さなことだが、相手の意向を無視する発想で、日本人の苦手なアプローチである。

ドメインを停止されたままでは判定もできないので、ドメイン業者に一時的に解除してもらい、その間にセキュリティ業者に申告するのだが、受け付けられてから長い業者で10日以上、問題が発生してからは1カ月かかってようやく解除された。この間、この問題がセキュリティ業界全体による、マッチポンプに思えてしかたがなかった。もともとこれらの業者は世界中に17億あると言われるウェブサイトを常時チェックしているわけではなく、できるはずもない。なので他の業者の報告をそのまま引用したり、外部からのタレコミに頼っている。解除要請も、オーナーではない私も行える。つまり何の根拠もなく特定サイトを告発することも、怪しいサイトを健全と判定させることもできる構造だ。

さらにセキュリティ業者サイトは、関連サービスの広告で満ち溢れている。なので汚染の判定解除を引き伸ばすほどオーナーがじれて、「一気に解決サービス」や「リストアップを直ちに伝えてくれるサービス」を購入する可能性が高くなる。それが狙いとは言わないが、専門家ならその構図に気づかなければいけないわけだから、気づいてて放置しているのかと勘ぐってしまう。

方やサーバーのサポートは万全だった。10数年以上24時間365日のサポートを受けてきた業者なので信頼はしていたが、案の定1時間程度でチェックし終えて対応済みとの連絡がきた。また、ドメイン業者にロックされている状況を伝えると、リストサイトでブロックしている数は減りつつあり、残りは2社ほどであとはすべてクリーン判定をしていることを示してきた。1社でも残っていればロックし続けるのはやりすぎなので、一時的にでも回復してもらうべきだというのである。無法地帯と化したネットで、「今そこにある問題」と取り組む技術者と、マニュアル対応の日本人窓口スタッフの違いを感じた。

バンカーバスター? チャイナバスターでは?

21日、米軍がイランの核施設を爆撃した。横田基地から飛び立ったB2爆撃機が、地中深くまで貫通するバンカーバスターを投下したという。横田基地が発信地ということに驚いてすぐ大圏航路(※)を確認すると、直行した場合北京の上を通ったことになる。もちろん通ったとは言ってないし、グアムあたりを経由したのなら話は違ってくるが。そのへんは詳しくは言ってない。

中国がこれに抗議すれば、むざむざ上空の通過を許したことを認めたことになる。上空通過ではなく、爆撃そのものに対する抗議でも、ああやっぱりと思われてしまうかもしれない。とりあえずスルーしてそのことに注目させないようにするのが最適だろうが、アメリカはそれを許してくれない。さっそく今最も懸念されている、イランによるホルムズ海峡封鎖への対応を、中国に「相談」したらしい。

イランの核装備を阻止し、中国を牽制し、ホルムズ海峡の封鎖を防ぐ。エネルギーを中東に依存し台湾問題を抱える日本にとっては良いことづくめとあって、NATO会議への出席をとりやめ、状況を静観することにしたらしい。唯一の被爆国として、核関連の戦争行為にはことごとく反対するとアピールし、国際世論を牽引することもできたはずだが。

※大圏航路の確認はこちらで。