その昔、物流業が使っている商品と車両の追跡システムを、自衛隊のロジスティクスに応用するシステムを考えたことがある。考えた、と言っても空想しただけだが。これは、平時から物流システム上で、実際の配送車両の他に自衛隊の運搬車両や特殊車両の仮想データを動かし、現実社会の道路の混み具合やコンディションなどに基づいた、データ上の演習を24時間し続けるというものだ。
さらに有事の際は最短区間の高速道路を最短時間通行止めにし、F35やオスプレイと、弾薬や燃料、交代パイロットなどがジャスト・イン・タイムで集合してすぐ解散させる。航空基地そのものを細分化して常時移動させ、相手の攻撃目標として固定させないということだ。以前から航空基地は滑走路に穴をあけられただけで飛行機が飛べなくなるのは不合理だと思っていたので、結構お気に入りのアイデアである。
だが、周囲には高齢者が多いので、この話をすると大顰蹙をかってしまう。そもそも防衛の話をすること自体が不謹慎と言わんばかりだ。かつて言われた「不沈空母」が良い意味で現実になると思うのだが、火に油を注ぐので言えない。単なる思考実験で、戦争映画を楽しむのと変わらないと思うのだが。
そんな中、ウクライナで「蜘蛛の巣作戦」が大成果をあげた。トレーラーに積んだ多数のドローンを目標近くで放出するというものだ。不沈空母システムを使えば、相手が仮に日本に上陸できても、そこらじゅうを走ってるトレーラーから、いつドローンが飛び出し来るかわからない。それ以上の侵攻は難しくなるだろう。そして、トレーラーをどうタイミングよく移動させられるかは、まさに物流システムのお家芸だ。しかもこれはAIのなかった時代に考えたことなので、いまならもっと効果的なシステムが作れるだろう。
