ドナ・リー

アメリカで猛威を奮ったコロナウィルスは、いろいろなジャンルの著名人もその犠牲になっている。ジャズのアルトサックス・プレイヤー、リー・コニッツもその一人だと知った。ジャズ喫茶でかかる曲の定番で、良い意味で白人らしさのあるプレイヤーという印象だった。ご冥福を祈りたい。

リー・コニッツは多くの作品も残しているが、パブリック・ドメインになるのはあと50年(法改正したから70年?)後なので、本人の演奏を選んで見た。

ドナ・リーはチャーリー・パーカー(1920-1955)の作曲。ということになっているが、レコーディングに参加したマイルス・デイビス(1925-1991)が、自伝の中で自分の曲だが、そのままにしたと語っている。マイルスがOKだと言うのだから、これはパブリック・ドメインである。

作品一覧へはこちらから

On the Sunny Side of the Street

作曲はジミー・マクヒュー(1894~1969)。昨年末、著作権の保護期間が50年から70年に引き伸ばされたが、命日が5月なのでギリギリでパブリックドメインだと思う。

演奏しているダイアナ・クラールはカナダ出身のジャズプレイヤー。ウィキペディアには「1990以降、最も成功したジャズ歌手のひとりで、5度のグラミー賞受賞」とあるが、私はyoutubeで初めて知った。渋い低音のピアノ弾き語りで、オーソドックスな選曲もあって、リラックスして聞ける。作曲家でもあるそうだ。オスカーピーターソンもそうだが、カナダ人ジャズメンには、実力十分で、しかも肩のこらない演奏をする人が多いような気がする。個人的には、ジャズバイオリンのソロがめっけものだった。

作品一覧へはこちらから

仰げば尊し

明治17年に発表された日本の唱歌で、アメリカの曲らしいが作曲者は不明。卒業式シーズンなので取り上げてみたが、最近は歌わない学校が増えているらしい。

この曲で一番思い出深いのは、1994年、鹿島アントラーズのジーコ選手の現役引退試合のセレモニーである。カールスモーキー石井の独唱に合わせて、スタジアム全員が歌い上げた仰げば尊しは、自分の卒業式以上に感慨深かった。
世界のスーパースターで、ブラジルの英雄、サッカーの神様とも言われ、スタジアムに「偉大なジーコ」の像が立つ。その名声と大臣の地位を投げうって来日し、電車で練習場に通いながらゼロからのサッカーリーグづくりに尽力した。現役時代から監督時代に至るまで、「実際に起こっている現実から判断をせず、現実と乖離する決まり事に従う」という日本人の特質を克服するため、自分で考えることの重要性を教え続けた「師」である。その教えに触れたサッカーファンを皮切りに、次第に日本人全体の意識も変わっていったように思う。

動画は伊丹十三作品「タンポポ」の1シーン。これもまた日本人の外食文化の有り様をも変えた名作。書きたいことはいろいろあるが、またの機会に。

作品一覧へはこちらから