李子柒 / じゃがいも

今回の李子柒は、じゃがいも。北海道民からするとじゃがいもは広大な農地で栽培するものなので、こんなふうに家庭菜園に植え付けるのは珍しい。道すがら、桃や梅のような実をつんでいたが、なんだかわからなかった。最後のは杏だと思うが、青梅をそのままかじったように見えたのが気になる。毒があるからそんなわけはないが...。
小さめのじゃがいもを大量の塩で炒ったものは、絶対にうまいと思う。家庭料理ではないが、農家では、市場に出せない小さないもがけっこうたくさん取れるはずだ。じゃがバターより原価も手間もかからず、香ばしそうだ。ダイナミックなデモンストレーション効果もあるから、イベントでだせば人気だろう。

李子柒 / 小麦

今回の李子柒は小麦。

ありふれた素材からどこまでバリエーションを作るかはこの動画シリーズの見せ場だが、さっそく麦わら帽子が来た。おなじみの唐竿(からさお)で叩いて落ちてこない未熟な穂は家畜に与える。収穫した小麦は発芽させて生のままきざんでおかゆと混ぜ、一晩置いてデンプンを糖分に変え、それを濾して煮詰めて麦芽糖にする。さらに砂糖や氷砂糖を混ぜてべっこうあめと、空気を入れながら伸ばして引き飴を作る。

我々のよく知る小麦粉を使うのはこの後だが、すぐ麺や餃子にはならない。小麦粉団子を水中で練ってデンプンを流し出してグルテンを作る。いわゆるトリモチの作り方だが、これを蒸せば生麩、オーブンで焼けば焼き麩になる。デンプンのほうは沈殿させて蒸し上げてクズキリ状のものを作る。この上にタレと生麩を乗せて一品が完成。小麦粉をわざわざ麩とクズキリに分けてから、また合わせて食べるのは不思議な感じだが、中国では珍しいものではないそうだ。
さらに小麦粉生地を揚げてシロップを吸わせて麻花児(マーホアル)、オーブンで焼いて焼餅(シャオピン)を作る。

最後はようやくおなじみの麺と肉まん。包子の蒸し上がり具合を見ると、粉は中力粉ではないかと思う。ちなみに強力粉を使うとコンビニの肉まんのようにフカフカになるが、味のないタンパク質が多いので味は劣る。家庭で作ってその場で食べるなら、デンプンが多くて味の良い薄力粉のほうがいい。また、中国人に肉まんをごちそうになると、動画のように肉を詰められるだけ詰めて作るが、大抵の日本人は皮が美味しいと言う。中国人からすると、貧相で客に出せないような皮の厚い肉まんが、日本人の好みだ。
麺は小麦の芽で緑色に染め、トマトソースで煮込む。まるでイタリア料理だが、違うのは麺の硬さ。医食同源の中国人は、アルデンテは「消化に悪い」と一蹴するらしい。

李子柒 / えんどう豆

今回の李子柒はえんどう豆。

まず種を播いて出てきた芽を、昔ながらの「豆苗」として食べる。現在スーパーで売られているモヤシ状のものではなく、普通に畑で育ったもので、昔はけっこう高級食材だった。続いてきぬさやとグリーンピース。そして黄色く成熟したえんどう豆は、発芽させて日本でもおなじみのモヤシ状の「豆苗」にした。

そこからがちょっと変わっていて、戻した豆を豆乳状に粉砕して布で濾し、布に残ったものを煮詰めて羊羹状の物を作った。大豆なら豆乳に当たる水は、そのままデンプンを沈殿させてわらび餅状のものを作った。
動画を見て、自分が、黄色く成熟したえんどう豆をあまり見たことがないのに気がついた。食べた記憶もない。ネット上のえんどう豆のレシピも、グリーンピースばかりだ。なぜだろう。それとも、誰でも知ってる「アレ」を忘れてるだけだろうか。