アフリカのベル・パターン

このサイトの来場者を調べると、「アフリカのリズム」をキーワードにしてくる人が多い。それほど充実してはいないと思うが、一時期のブームに比べ、アフリカ音楽に関するサイトが減ったことも確かである。そこで、少しでも知ってることは情報提供しようと思う。

http://www.wikiwand.com/en/Bell_pattern

これはアフリカ音楽における、地域ごとのベルのパターンの違いを研究したもの。サハラ砂漠以南の地域となってるのは、アフリカ北部はアラブ文化圏だからだと思う。ベルは、アフリカ音楽ではリズムキープを担う重要な楽器で、曲の最初から最後まで、ほぼ同じパターンを繰り返す。いわば背骨のようなものだと思う。この点、ジャズのドラムセットのシンバルなどは、曲の中でしょっちゅうパターンが変化する。装飾の役割が強いのだと思う。

ちなみに、この中で私が知ってるのは、ガーナのリズムの2つしかない。

●12/8 bell Petternsの2番めは、ガーナの「fumefume」のベルパターンだと思う。

●4/4BellPatternsの3番めは、同じくガーナのkpanlogo、またはフォーフォーと呼ばれるリズムである。

この動画は、いかにもkpanlogoらしさがあり、ベルの持ち方などが参考になるが、肝心のベルの音があまり聞こえない。(耳が遠くなった?)。そこでもう一つkpanlogoを紹介する。

ちなみに、アフリカ音楽に詳しい人ほど、リズムパターンを楽譜化することに否定的だ。表しきれないニュアンスがあるからだ。私も知ってるリズムのパターン譜を選ぶときに、強いて言えばこれかなあ、という感じで選んだ。とはいえ、どんな些細な情報でもという気持ちもわかるので、あえて紹介してみた。まあ、面倒くさいことはおいといて、楽しんでもらえればいい。

カテゴリー アフリカのリズム

リズムとズレ2

前回の「リズムとズレ」では,アフリカの子供は三拍子の曲に2拍の手拍子を入れると言ったが,心臓の3拍と足の2拍は,縦に重ねるだけでなく,横に並べることもある.
リズムとズレ2
②のように,5拍の音を繰り返すのだが,5拍を均等に刻むと言うより,②のように緩急をつけたリズムを刻む.これがガーナ音楽の代表的なリズム「kpanlogo(パンロゴ)」だ.とはいえ,厳密にこの譜に書いた通りに刻んでいるわけではなく,「ケニケニカ、チャチャ」という歌で口伝えされている.また,この5拍のリズムは同じガーナの音楽でも,地域や種族で微妙に緩急の付け方がズレているようだ.
パンロゴや他のガーナの音楽に慣れ,5拍のリズムが身についてくると,このズレの間隔を自由に動かして,4拍子一小節の間を,正確に5等分するリズムなんていう芸当もできるようになる.

 

ちなみにガーナ音楽になじみのない人でも,ボザノバなどのラテン音楽をよく聞くと,背後で主にクラベスという拍子木が,このケニケニのリズムを刻んでいるのがわかるはずだ.アフリカから奴隷として連れ去られ,南米で生きることになっても,故郷の心臓と足のリズムまで奪うことはできなかったのだ.

カテゴリー アフリカのリズム

リズムとズレ

三拍子と2拍の手拍子アフリカの子どもたちに三拍子の曲を聴かせると,二拍の手拍子を叩く.曲が「1.2.3.1.2.3.」とリズムをとる間を,「1.2.1.2.」のタイミングで手拍子を入れる.音そのものではなく,曲と手拍子がぴったり一致しないことでできる微妙なタイミングのズレが,アフリカ人にとっての「リズム」そのものなのだそうだ.
この感覚は言葉で説明しにくいが,ちょっと試してみるとすぐわかる.口で「1.2.3.1.2.3」と言いながら,二拍の手拍子を叩くと,そこに何とも言えないノリというか,緊張感が生まれる.三拍子の曲に合わせて三拍の手拍子を叩いても,この感覚は味わえない.

昔から,二拍子や四拍子は,歩くリズムだから体に染み付いている自然なリズムだが,三拍子という割り切れないリズムが,なぜ無理なく聞こえるのか不思議だったが,これは心臓の脈拍なのだそうだ.「心臓がドキドキする」という言い方をするが,実際の心音は「ドッキドッキ」という,三拍の真ん中を抜いたような三拍子を刻んでいる.心臓の筋肉が全身に血液を送り出す時の,やや時間をかけてギュッと絞りだす動き.逆に心臓に血液が流れこむ時の,一瞬の動き.心音は,その動きに合わせて動く心臓の弁の音なので,自然に三拍子を刻んでしまう.
そして,心臓が三拍子を刻むと同時に,足が二拍子をとる.心臓を動かしながら歩き続けるのが,人間の基本的なリズムだと,アフリカ人は考える.だから上述のような手拍子を合わせるのだ.あまりバイオリンには関係がないようだが,アフリカのリズムは,ジャズのスゥイング感になって,多くのポピュラーミュージックに影響を与えている.ポピュラー曲を弾くときは,譜面通りではなく,このスゥイング感を盛り込んでいかないとさまにならないことが多い.

カテゴリー アフリカのリズム