総理府統計局の発表する「統計ヘッドライン」9月号に、我が国の「人口重心」が発表された。日本の人口を重さで測ったらどのへんで釣り合うかを示すもので、岐阜県関市だという。大体日本地図の真ん中あたりになるだろうと予測してたが、東に東京があるにもかかわらず、重心は随分西だ。興味が湧いたので関市を調べてみた。人口の話はここまで。
関市は関の孫六の伝統を受け継ぐ刃物の町というのは有名だが、地図で形をみて驚いた。なんとも不自然なV字型である。平成の大合併の際に、隣の美濃市との調整がつかなかったか、合併合戦で美濃市に勝ったか、そのへんのゴタゴタが容易に想像がつく。戦国時代、いやもっと古くから続く地方豪族同士の確執、プライドと思惑が交錯し、金と罵声が飛び交う醜い闘いがあったに違いない。
一方関、美濃両市の北にある広大な緑の自治体は高山市だ。若い頃に訪れた飛騨の高山は、合掌造りの民家や宿場町の風情を残す小さな町だったが、順調に合併を繰り返し、なんと日本一の面積を誇る市になってしまったのだそうだ。旧勢力同士が争うすきを突いて、小国からのし上がり、いつしか強大になって背後に忍び寄る新興勢力。岐阜県の方には恐縮だが、実に面白い。岐阜といえば昔の美濃の国、そして美濃といえば、司馬遼太郎の「国盗り物語」の舞台だ。