エウロパ・クリッパー、無事発射

木星の衛星「エウロパ」を調査する、NASAの宇宙船エウロパ・クリッパーが、10月14日、NASAのケネディ宇宙基地から発射された。発射後も、無事太陽電池パネルを展開し、宇宙船からの通信を受信した。
宇宙船は火星を目指し、その重力を利用して軌道を修正。木星への旅に向かう。木星到着は5年後で、そこからはエウロパと同じ木星の衛星軌道に入り、数10回の接近を繰り返しながら観測を行う。

エウロパは地下に大量の水があるなど、多くの謎を秘めながらこれまで本格的な調査がなされなかった衛星。エウロパ・クリッパーはこれまでの宇宙船で最大となる全長約30メートル。エウロパの表面をくまなくマッピングする予定である。
予約投稿をしそこなって公開タイミングが遅れてしまったが、これから始まるエウロパ・クリッパーの長い旅に比べれば誤差のうちだ。

クリッパーとは細身の船体に多くの帆をつけた帆船の形式。インドからイギリスまで、より早くお茶を運ぶことを目的に作られ、快速帆船とも呼ばれる。有名なカティ・サーク号は、蒸気船ではお茶に鉄の味がつくとして、蒸気船の時代になっても使われ続けた。エウロパ・クリッパーも、木星系の海のある衛星の探査ということで、船の名前がつけられたのだろう。

パーカー・ソーラー・プローブ、太陽への21回目の接近を完了

NASAのパーカー・ソーラー・プローブは9月30日に太陽への21回目の接近を完了し、太陽表面から約451万マイル(726万キロ)まで接近して自身の距離記録に並んだ。今回の接近観測が終わると、宇宙船はふたたび太陽から離れて金星の重力で最後の軌道変更を行った後、太陽への接近と観測を3回行った後は重力に捉えられて太陽に突入する運命にある。

2015年の発射時点では、随分先のことと思っていた計画の終了が見えてきた。宇宙船には、世界中から集まった一般人の署名データが搭載されていて、私もその一人である。ちなみに日頃当サイトでは個人情報につながる情報は慎重に避けてきたので、もし身バレすることがあるとすれば、この宇宙船から以外に考えられない。
それはともかく感無量である。だが今年10月、同じくNASAによる木星の衛星エウロパ観測船が発射されるが、ここにも署名させてもらった。宇宙は広く、人間の探究心にも限りはない。太陽が済んだら木星へ。漠然とした話で膨大な費用もかかるだろうが、同じロケットなら他国に落とすより宇宙に飛ばしたほうがマシだろう。ささやかな署名だが、少しでも後押しできればいいと思う。

2024年エウロパ・クリッパーの旅

2024年10月、NASAはフロリダ州のケネディ宇宙センターから木星の第2衛星「エウロパ」に向けて、探査機「エウロパ・クリッパー」を打ち上げる。この探査船には米国の詩人エイダ・リモン氏がエウロパに向けて書いた詩が、タンタルという金属のプレートに手書きの形で刻まれ、応募のあった人々の名前入りのマイクロチップとともに探査機の覆いの内側に納まる。この募集が昨年末まで行われ、私も駆け込みで参加した。

エウロパ・クリッパーは、地球から29億キロの旅を経て、2030年にエウロパに到着する。エウロパは月よりやや小さいサイズの氷で覆われた衛星。地球外での生命の探索に最適な場所の1つと考えられている、海洋世界が存在する衛星の1つだ。その周りを飛行し、氷の下の海に生命体が存在するか否かを調査する。その後2034年まで観測を続け、最期は同じ木星の衛星ガニメデに引き寄せられて衝突することになっている。

さて、そのガニメデだが、月などと同じく惑星の周囲を回る衛星としては、太陽系最大。水星よりも大きく、地下に大量の塩水があることなどから生命の存在も期待されていて、SF小説などでは、ガニメデ人が存在するというものもあった。もしそこに知的生命が存在するなら...探査船の衝突はテロである。
「大気も海も汚染されて、弱肉強食だの食物連鎖だのと未開な星だから放っておいたが、テロならただじゃおかないぞ」と報復に押し寄せるかもしれない。
「とりあえずこの名前の書いてあるヤツから血祭りだ!」

偶然私の名前が、ガニメデ人にとって最大の侮辱を意味してしまう、ということもあり得る