さまざまなジャズ・ミュージシャンに取り上げられている、ジョージ・ガーシュイン(1898-1937)の作品。「ラプソディ・イン・ブルー」など、数々の名曲を残しているが、わずか38歳の若さで亡くなっていたとは知らなかった。
若さつながりで、今回はユッコ・ミラーの演奏で。冒頭の掛け声やコスプレもどきの衣装を見てたかを括っていたら、突然骨太なジャズが始まって驚いた。
高校1年の時友達に誘われてブラスバンド部に入り、サックスを手にしたという彼女。在学中はストリート・ライブも続けた。また、グレン・ミラー・オーケストラのコンサートに行き、終了後に楽団員をつかまえて腕前を披露したところ、「明日からツアーに参加しないか?」と誘われたが、「学校があるから」言って断ったというエピソードもある。現在25歳で、動画は20歳ころのもの。すでにアルバムを出し、ジャズファンの間でも知られた存在となっている。
演奏は「若い」とか「女性」とかいう枠を超えて、現代のサックスプレイヤーの中で、堂々のトップクラスだ。アルトサックスとは思えないほど太く男性的な音が特徴的だ。独自のステージ衣装は、単に好きだからなのかもしれないが、デビューの鮮烈な登場感を狙い、メディアのレッテル貼りをはぐらかそうとする頭の良さも感じる。
17歳で報道ステーションのタイトル音楽を作った矢野沙織や、札幌出身で同じく25歳の寺久保エレナなど、近年なぜか女性のジャズサックス奏者が続出している。彼女たちの親の世代にはジャズファンが多いが、子供の代に受け継がれるほど、日本にジャズが定着したのかもしれない。