The Trouble with Me Is You

Red McKenzie(1899-1948)の曲。さすがに古い曲なので、かろうじてどこかで聞いたことがあるなあという程度だ。そこで歌手のSamara Joyについて。

Samara Joy 1999年生まれ、ニューヨーク、ブロンクス生まれ。曽祖父、祖父、父と、いずれもゴスペルに関わってきた音楽一族である。2019年にサラ・ヴォーン国際ジャズボーカルコンクール優勝、2023年のグラミー賞では最優秀ジャズボーカル賞、最優秀新人アーチスト賞を獲得している。
オリジナル曲でデビューしヒットしてスターダムへ、というのはポップス・アーチストの王道だが、サマラ・ジョイは若さに似合わない古典的なポピュラーの名曲をレパートリーにしているようだ。私の若い頃はひとつの曲がヒットしたら、TVでもラジオでも、朝から晩までそればかりかかっていたが、現代はいろいろなメディアで、様々な時代とジャンルの音源があふれている。今の若いアーチストにとっては、流行に関係なく良いと思った曲を歌うということなのかもしれない。

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I Can’t Get Started

Red Mckenzie(1899 – 1948)の曲。日本語の曲名は「言い出しかねて」。”I Can’t Get Started With You”と表示されることもあるが、聴き比べると同じ曲のようだ。美しい旋律が特徴のバラード曲で、現代でも古さを感じさせない。
演奏はオスカー・ピーターソン。スイング時代の奏法に近代的な和声を取り入れた独特の節回しと、ジャズ界屈指の超絶技巧を誇る。と書いてしまうと小難しい演奏のように思えてしまうが、誰もが知るスタンダード曲を取り上げ、どこか懐かしい感じのするスイング調にアレンジ。しかもいかにも温厚そうな人柄とあいまって日本でも多くのファンに親しまれている。

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‘s wonderful

George Gershwin(1898-1937)の作曲。ミュージカル用として作曲され、その後、映画「巴里のアメリカ人」や「ファニーフェイス」で、ジーンケリー、フレッドアステアなどの大スターが歌っている。非常に古い曲だが、モダンな旋律で今なお演奏され続けている。
今回取り上げたのはカナダ人のジャズボーカル&ピアニストの、ダイアナ・クラール。ネットで知ったミュージシャンだが、wiki pediaによれば「1990年代以降に最も成功したジャズ歌手の一人で、1999年から5度のグラミー賞を獲得した」という。

誰かは忘れたが、ミュージシャンが「歌が歌えないから楽器をやってる」と言ってたが、確かにピアノを弾き語りするジャズプレイヤーは珍しいかもしれない。この演奏でもわかるように、オーソドックスなスタンダードをよく演奏しているようなので、この人の名で検索するとおなじみの名曲が並ぶ。

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