毛が抜けた!

ビオラの弓の毛が抜けるようになってしまった。最近ケースを開くたびに、1本、2本くらい抜けているのは気がついていたが、まとめて数10本くらい、束になって抜けるようになってしまった。抜けると言っても、止めてある両端のどちらかが外れ、長い毛が片方からだらんと垂れ下がるのだから、情けないことはなはだしい。四谷怪談で毒をもられたお岩さんの髪が、ごっそり櫛にかかって抜ける場面のようだ。残った部分も、毛を光に透かしてみると、なんとなく毛の束に密度が減っている。この状態で鳴らしてみると、思ったほど変わってないが、すこしかするようになった気がする。

バイオリンの弓はセットでついてきたもので、素人目にもちゃちだったので、すぐカーボン製に買い替えた。ビオラもセットものだったのだが、まあまあしっかりしているように見えたので、そのまま使ってきた。限度がきたのだろう。
買い換えなければならないわけだが、毛を換えることはできるらしい。動画もあるし、eBayに馬の毛も売っていて、品質にもよるのだろうが、そんなに高いものではない。新しいのを手に入れるのとは別に、そのうち失敗覚悟でやってみるかもしれない。

ちなみに、弓の毛の素材は馬の尻尾の毛、それも雄のものしか使わない。雌のは構造上、おしっこが引っかかってるからだそうだ。

続々々魂柱記


見よ!これが今回、ネットを検索しまくって調べた、自作の新型魂柱立てである。不安定な魂柱を、2本の針金に据えて糸で押さえつける。糸は長く伸ばして、器具の反対端にしっかりとくくりつける。これなら多少魂柱が内部に触ろうが外れたりしない。立て終わったら糸を引き抜く。金具の各所の長さは、バイオリンのサイズや立てたい位置に合わせて針金を折り曲げてその都度作る。
旧器具を使って場所の調整をする間、つけたままにしておいてもいい。私はさらにブリッジを立て、ある程度弦を張って魂柱を押さえつけるまで器具をつけたままにして、最後の最後で糸を抜いて器具を引き出した。旧立て具とは比べ物にならない、安定した作業だった。

ただし魂柱自体の長さはやや長くしすぎたらしく、いわゆる正しい場所、ブリッジのやや後ろあたりには立てられなかった。そのあたりは、天井と床の幅が狭かったのである。だが、構わずにチューニングしてみると、なんと、決しておかしくはないのだ。問題だった第一弦の途中の音が出ない症状も解決されている。こうしてまぐれにも、古いボロバイオリンは蘇ってしまったのだ。

私は今や得意の絶頂だが、更に増長して、ここに自己流の魂柱理論を披露したいと思う。以前から魂柱は音を伝えるのではなく、ただのつっかえ棒だと思っていた。これがないと弦を締めればしめるほどブリッジが下がり、他の弦が緩んでしまう。やりすぎれば板にヒビが入ってしまうだろう。とは言えブリッジの真下におけば、振動を抑えてしまう。だから魂柱はブリッジをやや離れた位置、できれば振動の「節」に当たる位置におかなければならない。
だが、アフリカの太鼓をたたいてわかったことだが、平面の振動はかなり変わっていて、節は面の何箇所にも存在する。だから、最高、最善でなくても、大したことのないバイオリンがまあまあ鳴るような魂柱の立て場所が、あちこちにあっても不思議ではない。

こんなことを書いていいのだろうか。しかし、後からあれはやっぱり間違いでしたということになろうとも、今は言いたい放題の有頂天である。とは言え、魂柱が長すぎるのは確かだから、そのうちもう少し削って立て直してみようと思う。私の魂柱記は、まだまだ終わらないのだ!

続々魂柱記

前回の続きだが、古いバイオリンから魂柱を取り出して、新品と並べてみた。

新品は古い魂柱に比べるとは随分と長いので、けっこう削らなければならない。太さも違うが、そちらはこのままで行こうと思う。長さについては、元のものよりやや長くし、中できっちり組み込まれるようにしようと思う。
左側の細長い傷は、専用の設置金具の先端を突き刺した跡だ。また、黒い糸が結んである。金具に突き刺し、狭いf字孔からそーっと内部に持ち込むのはなかなかやっかいで、すぐどこかに触って内部に落ちてしまう。逆さに振ってf字孔から落ちてくるのを待つのは面倒なので、こんな糸をつけたのだろう。本来やってはいけないことだろうが、気持ちはわかる。

魂柱を立てるには下のような器具の尖った方に刺し、そーっと中に入れて立て、器具の反対側の窪みで押したり引っ張ったりして望みの位置に据えるのだが、まず簡単には刺さらない。指すというより、なんとか付着しているという状態で、ちょっとでもどこかに触ったりだけで外れて胴体の中に取り残される。そうなると逆さにして、穴から落ちるように、中で転がすしかない。これを何度も繰り返すことになる。さすがに馬鹿馬鹿しいったらないので、今回は秘密兵器を作ることにした。(明日も見てね!)