にせトリッパ

トリッパとは、4つある牛の第2胃のこと。ハチノスと呼ばれることもあるが、これは、トリッパの代わりに卵の薄焼きを使ったものだ。

生の牛のトリッパの下処理は実に面倒くさい。汚い薄皮がこびりついている上に、胃なので当然ゲロの匂いがする。それを除くために、手間や時間がかかり、コツも必要だ。以前一度だけ試してみたが、苦労した挙げ句に、やっぱり臭いという散々な仕上がりで、二度とやらないと誓ったものだ。どこかのリストランテで食べるのが一番だが、手間がかかるので安くは出せないだろうし、そういうものを食べ来る客がいるような店はそこそこの値段になってしまうだろう。イタリアなどではどうやら下処理したものを売ってるらしい。

偽とはいうものの、番茄炒蛋(ファンチェチャオダン)とか、 西紅柿炒鶏蛋(シーホンシーチャオジーダン)と呼ばれる中国の家庭料理に近いので、内蔵肉ならではの濃い旨味はないものの、別の料理として間違いなくうまい。特に動画のように卵にしっかり焦げ目を付けてやると、ソースとからんで香ばしさが際立つ。世に名高い、アミノ・カルボニル反応というやつである。

ついでながら番茄炒蛋は中国で一番ポピュラーな家庭料理である。材料が安くて簡単にでき、嫌いな人の少ない旨さがある。日本でも家庭料理にぴったりなので、知らないという人は覚えておくと便利だ。その番茄炒蛋の作り方は以下のとおり。

ほうれんそうの缶詰

blenderの練習でほうれんそうの缶詰を作ってみた。それほど難しくないはずなのに、なぜか手間取った苦心作なので、公開することにした。

トマト缶などでよく見る、表面が波打った形状が作れるかどうか試したのだが、検索するにも缶の名称がわからず、画像の資料がなかなか見つからなかった(※)。さらに形はすぐできたものの、表面のラベルが何度やっても崩れた。できてしまえば何ということもない画像だが。
※検索の仕方が悪いのかもしれないが、製缶会社のサイトでもわからなかった。その昔、製品の名称が慣例的に関西と関東の業界で違っていたことで、大問題が起きた例を知ってるので、非常に気になる。

さて、ほうれん草の缶詰と言えばポパイ。日本では「不二家の時間」という番組枠で放映され、その後オバQ、パーマン、怪物くんなどが続いた。もともとアメリカではヒロインのオリーブ・オイルと別の彼氏が登場するマンガで、ポパイは連載開始10年以上経ってから1回限りの予定で登場したキャラだったが、人気を呼んでそのまま主役になり、アニメ化でオリーブの恋人という設定になったそうだ。オリーブもなかなか罪な女である。

当時、脇役のウィンピーがいつも食べていたハンバーガーがなんだかわからず、気になっていた。これはその後マクドナルドなどが開店し、珍しくなくなったが、ほうれんそうの缶詰だけはいまだに見たことがない。日本でもネットで買うことはできるようだが、ポパイが登場したときには、アメリカにも存在しなかったとか。皿の中にある、あまり食欲のわかないものが缶の中身らしい。これではおひたしにもならないだろう。
ところでアニメに本気になるのもどうかと思うが、ポパイはほうれん草を食べて怪力になるが、食べる前は普通の人間のはず。だとしたら、缶詰を握りつぶして中身を飛び出させる人間が実際にいるのだろうか?

ポップオーバー

ポップオーバーは中身が空っぽで、シュークリームの皮の部分だけのようなパンだ。小麦粉、玉子、牛乳をまぜてオーブンで焼くだけでできる。シュー皮だけむしって食べたいという人にはうってつけだ。


ポップオーバーのレシピ
(材料)
・小麦粉 50g(薄力粉、または中力粉、または適当にミックス)
・玉子 1個または2個
・牛乳 200g
・植物油 10g(忘れて入れなかったときもなんとかなったが)
(作り方)
・材料を室温にして、よく混ぜる
・金属製のプリン型等の内側に油を塗って、オーブンに入れ210℃に予熱。
・オーブンがあたたまったら、材料を型に半分くらいずつ入れ、15分焼く
・オーブンの扉を開けずに180℃にしてさらに15分焼く
・オーブンの扉を開けずにそのまま10分置く
(コツといましめ)
材料はかなり適当で良いが、途中でオーブンの扉を開けないこと。開けるとその場でしぼんでしまって、情けないものが出来上がる。210℃の高温で一気にふくらませたいので、材料が冷えていると膨らみきらない部分が多く残る。210℃焼きの期間でほぼ形が決まるので、その後180℃で固めて最後の10分間でしぼまないように内部の蒸気を抜きクールダウンさせる。小麦粉は薄力粉はサクサクにしあがり、中力粉はもっちりした部分ができる。

(型について)
ポップオーバー専用の型やマフィン型もあるが、百均のプリン型が手頃だ。大きなものではないので、百均としては高い感じだが、ずっしりと重く、内面外面ともに細かいエンボスが入っていて堅牢なつくりだった。

ポップオーバーはその昔、「堀井和子の気ままなパンの本」というレシピ本で知った。それまでのレシピ本は出来上がりの盛り付け写真や、途中手順の連続写真にレシピの文章が書いてあるだけのものが多かったが、この本はペンでささっと書いた挿絵とごく簡単なレシピのほか、ニューヨーク生活のエッセイなどが書いてあった。上記の変な絵はそのマネである。
シンプルな編集が新鮮で、しかも紹介しているのがベーグルやピタブレッド、小麦粉のトルティーヤ、ポップオーバーなど、後にカフェめしのネタになった素朴で洒落たパンばかり。このスタイルは流行るんじゃないかと思っていたら、案の定だった。時代はバブル崩壊の直前、豪華でリッチなものがあふれかえった反動として出てきた、シンプル志向の走りだったような気がする。.