李子柒/搾菜の漬物と梅花酥の朝食

今回はVLOGの舞台でもある、四川省名産の搾菜の収穫から。中華料理店でよく出てくるが、植わっているのを見るのは初めて。根の部分かなとも思っていたが、茎だった。それを千切りにした後、塩もみして重しをかけておく。唐辛子などであえて完成だが、材料はピーナツなどもあるようだがよくわからなかった。

梅花酥の酥は中華風のパイのこと。中華風のパイは、粉と水で練った生地と、粉とラードで練った生地を包み込んだ後、折りたたんでいく。今回は粥を材料に使ったようにも見える。生地を梅の形に成形して油で揚げて梅花酥の完成である。これらを白粥に添えれば、李家の朝食のできあがりだ。 今は知らないが、お粥に、油条という揚げパンや、春巻の皮の揚げたものを入れるのが、伝統的な中国の朝食である。炭水化物と油しかないが、これがなかなか美味しい。特に 油条は日本人好みの味なので、かねがねもっと普及してほしいと思っている。

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李子柒 / 苏造酱

毎回驚きの中国ロハスライフを見せてくれる李子柒。今回は清朝宮廷秘伝の調味料、苏造酱( スーツァオジャン)づくりとあって、動画も故宮博物館太和殿の奥にある厨房から始まる。 苏造酱は蘇州の醤(ジャン)という意味で、蘇州を愛した清の乾隆帝が作らせ、現代中国の国宝級厨師(コック)である程汝明によって改良されたもの。ネット上には、この動画の解説がありレシピもあった。翻訳ソフトまかせだが、わかった範囲でレシピを書いてみる。

材料
クルミ、乾燥唐辛子、生ピーナッツ、コショウ、塩、ニンニク、オイスターマッシュルーム、一般的なソース、ゴマ、紅棗(なつめの実)など
作り方
クルミを刻み、生ピーナツは煎って皮をはがす。エリンギ、みじん切りにする。にんにくは不純物が混じりやすいので、刻んだ後水で洗う。材料が揃ったら、鍋に油を入れ、熱くなったら一杯とって刻んだ乾燥唐辛子に注ぐ。鍋にエリンギをいれ、水分がなくなるまでまで炒める。クルミを入れ、色づくまで炒める。鍋に油を入れ、普通のソース(醤油?)を入れて1~分絶えず撹拌し、クルミ、唐辛子、適量の塩を入れる。2~3分後にピーナッツ、紅棗、ゴマを入れ、かき混ぜ続ける。塩を入れても良い。

説明では冷麺などに良いとあるが、動画では小麦粉を焼いた「薄餅」につけて食べていた。また、ネットには、 李子柒 ブランドの 苏造酱も販売されていた。

ちなみに程汝明とは、現代中国の名コック。湖南省生まれで、米が主食だった毛沢東が、この人の面料理(餃子、包子なども含む小麦粉料理全般)だけは食べたと言われる。山東省生まれで天津で修行したというから、満漢全席などを産んだ清朝宮廷料理人のエリートコースを歩んできた人だ。時代や政治体制が変わっても、中国4千年の食の伝統は変わらないらしい。

李子柒/木製活版印刷

なんと今回のテーマは活版印刷。5分間の短い動画の中に、中国ならでは歴史や文化の情報がいろいろと詰め込まれていて面白い。最初に登場する扁額は、王という名工の住まいだった場所らしいのだが、誰のことかわからなかった。木の小片に文字を彫っていくのだが、今回のように活字として使い回さない場合は、浮世絵や高麗大蔵経のように、一枚の版木に彫り込んでしまうだろうとは思うが、そのへんは活版印刷を一部再現して見せたということかもしれない。なにしろ相手は活版印刷の祖、中国であるから、堂々とやられるとどこまでが演出かわからない。
木片にいきなり筆で裏文字を書き始めたのもちょっとびっくりだ。活字なので高さが揃わなくてはならないから、墨で書いて失敗すると、削って修正できない。仕上がりはきれいな明朝系の書体だが、もしかすると中国には、筆で裏文字を書きやすい書体があったのかもしれない。

刷りの際は、紙の一辺を折って、印刷でいうところの「トンボ」の代わりをさせている。漉き上がったまま縁が断裁されていない紙を使うのだから当然なのだが、こういうちょっとした部分のリアルな所作は、やったことのある人でないと脚本に書けない。まさかこの女性が知ってたとは思えないが

刷り上がったのは詩のような手紙で、現代中国の簡体文字ではなく古い漢字なので日本人にもなんとなく意味が伝わる。焚き火でお粥を炊いているところへ、野生の鶴が飛んで来てたのが、子供時代に一番好きだった光景だというような意味だろう。
ラストシーンは、これまた王という人物の祖先を祀った霊廟だそうである。一面の瓦屋根だが、棟を立ち上げる日本式と違って、なめらかなへの字型の瓦をかぶせる構造が、なんとも中国らしい。それにしても王って誰だろう?

追記
王というのが何者か調べてみたのだが、どうも元の時代の農業学者、王禎(おうてい)のことではないかと思う。山東省出身の篤農家で、1313年に近代農業以前の農法を集大成した「農書」全22巻を著した上、木活字3万字を作って出版したとある。食をテーマのひとつとするこの動画で、農業の大先達王禎の顰に倣って木活字を彫ってみたという動画なのだろう。単なるロハスなイメージのおしゃれ動画じゃないんだね...