今回の李子柒は、豚の半身から作る燻製類。いわゆるソーセージとベーコンだ。使う調味料は違うものの、塩蔵、乾燥、燻煙のプロセスは同じ。レバーの中に塩漬け卵の黄身を詰め込んだものは西洋の燻製では見かけないが、濃厚な味の好きな人にはたまらないだろうと思う。出来上がった腸詰めはサラミのように乾燥していて、炊き込みご飯の具になった。滲み出た汁を吸ったおこげは、いかにもうまそうだ。
同じ腸詰めでも、焙煎するのが西洋式でしないのが中国式という説もある。また、アメリカ人はBBQのコンロに、くん煙剤のチップを放り込みながら焼くことが多いが、燻煙で区別するのは、炭やガス、電熱などの無煙の熱源が普及してからのことだろう。大昔は、狩りの獲物を焚き火で焼くにせよ、乾燥させるにせよ、煙がかかってしまったに違いない。そして多少なりとも煙のかかった肉の味こそ、近代に至るまでの長い年月、人間にとっての肉の味だったのだろうと思う。
