宇宙船の断熱材

最先端の科学技術も、突き詰めると常識的な理屈でできていることが多い。特に宇宙船のような過酷な環境で使う技術は、できるだけ簡単でわかりやすく、安定した技術が採用されている。高度なシステムが単純な理屈でできていることを知るのは、気持ちがいいものだ。

宇宙船にはさまざまな箇所に断熱材が使われている。断熱材といえば発泡スチロールのようなものを思い浮かべるが、樹脂などに空気やガスの泡を封入すると真空中に持ち出した時に膨張する。多分ボロボロになってしまうだろう。魔法瓶でもわかるように真空は最高の断熱材だが、地上で「真空の泡」は作れない。さて?堂々巡りになってしまった。

そこでChatGPTに聞いてみたところ、泡というより、無数の空気の隙間のある構造を作り、それぞれの空間を密閉しないようにしておくと、宇宙に出る際に自然に空気が抜け出て真空の断熱層ができるのだという。もちろん実現には高度な調整技術が必要だろうが、理屈は、当たり前とも言えるような、すごく簡単なことだった。

それでは逆に、宇宙空間はどこもかしこも断熱されているようなものかといえば、それであたってる面もあるらしい。空冷が効かないので、むき出しになっている装置でも、どんどん熱がこもってしまうこともあるそうだ。さらに人工衛星そのものも、地表のように大気で緩和されていない直の太陽光線を浴びせられ、表面が摂氏100~150度にもなり、地球の陰側に来るとマイナス100~150度まで冷える。これを例えば90分に1回、地球を1周するごとに繰り返しているらしい。

宇宙と言うと、暗く、全てのものが冷え切った絶対零度の世界と思っていたが、宇宙船や人工衛星はけっこうホットな存在らしい。

「奴隷」考

若い頃からジャズが好きだったので、尊敬するプレイヤーたちが決まって差別を経験しているのが釈然としなかった。また、黒人は奴隷だったために差別されるというのが、理由になってないような気がしていた。
奴隷はあらゆる時代のあらゆる国に存在し、そのあり方も多種多様で、日本にも奴隷がいた。奴隷貿易の全盛期には、西アフリカの強大な黒人国家が、戦争の捕虜などを奴隷として輸出していた。黒人奴隷がいたのはアメリカ南部だけではなくニューヨークなどにもいた。南北戦争で、黒人のために白人が命をかけて戦ったというのが不自然に思える、など、奴隷制度への疑問が高じてきた。

そこで、主としてアメリカの奴隷制度に関する疑問を、思いつくままにChatGPT。ページの最後に、セッションをそのまま収録したPDFファイルのダウンロード・リンクを置いたので、読んでいただければ幸いである。

このセッションから知ったことは多いが、中でも産業として奴隷を送り出していたマリやソンガイなどの黒人王国、奴隷商人、自由黒人の存在や奴隷制反対運動家など、さまざまな形で奴隷制度と関わった人々についての知識は、奴隷制度のスケールや根深さを教えてくれた。相手が人工知能ということを変に意識して、我ながら妙な質問口調なっているし、体系だった構成になってないが、Q&A形式の読みやすさがあると思う。
ちなみにこういう文章の権利関係がどうなるのかについても尋ねたところ、ChatGPTに権利は存在せず、質問部分と全体構成について私の権利があるかもしれないとのことだが、著作物という感じがしない。なので責任は負えないが引用、コピーなどはご自由にどうぞ。

タイトル画像の話 / ペニー・ファージング型自転車

アンティークのカード整理棚を作り、アクセントとして、レトロなイラストなどでよく見るペニー・ファージング型自転車(※)を置いてみた。

自転車はすぐできたが、乗せた人形が少々やっかいで、ポーズをとらせようとすると複雑骨折になった。CGのキャラクターを歩かせたりする場合にはIKという専用の技術があるのだが、設定するのがやっかいなので、人形アニメよろしく手足を少しずつ動かしながらポーズを作った。特に説明することはないので、制作中にAIで調べた「ペニー・ファージング型自転車」に関するマメ知識を紹介しよう。

ペニー・ファージング型自転車(Penny Farthing)」は、1870年のイギリスで、「自転車の父」と称されるジェームズ・スターリー(James Starley)によって発明された「アリエル(Ariel)」というモデルが前身。ペニー・ファージングの名は後年に付けられたもので、前輪(ペニー硬貨)と後輪(ファージング硬貨)の大きさの違いが、これら2つの硬貨を並べた様子に似ていることによる。誕生後約15~30年間、主に貴族などのスポーツ感覚の乗り物として普及した。

特異な形状になった理由は以下の通り。
1. 速度を上げるため
チェーン駆動がなくペダルが前輪に直接つながっていたため、1回のペダル回転で進む距離(いわゆる「ギア比」)は、車輪の直径に依存していた。そこで 前輪を大きくすることで、ペダルを1回転させるごとに進む距離を増やし、速度を上げることができた。
2. スムーズな乗り心地のため
19世紀の道路は舗装が不十分で、デコボコが多かった。そこで大きな車輪で路面の凹凸を乗り越え、路面の振動を吸収して、よりスムーズな乗り心地を提供できた。
3. 技術的制約
チェーンやギアの技術が発展していなかったため、直接駆動が主流だった。

問題点
前輪が大きすぎるため、転倒すると高い位置から落下する危険があった(特に「前方転倒」)。 操作が難しく、バランスを取るのが大変だった。
その後登場した、チェーン駆動による現代の自転車に近いタイプが登場したとき、「セーフティ自転車」と名づけられたことからも、「ペニー・ファージング型自転車」が危険だったことがわかる。

参考資料:ペニー・ファージングの主な製造メーカー
オードリー・アンド・ガスター(Ordinary & Gaster)
イギリスの自転車メーカーで、ペニー・ファージングの初期の設計を手掛けた。初期のデザインは、他のメーカーに影響を与える重要な役割を果たした。
スターリー&アーチャー(Starley & Archer)
イギリスのジョン・ケンプ・スターリーが設立したメーカー。スターリーは、後に「セーフティ自転車」の設計で有名になり、自転車業界全体に大きな影響を与えた。 ペニー・ファージング時代にも影響力を持つメーカーの1つ。
ロジャース(Rudge)
イギリスの老舗自転車メーカー。高品質のペニー・ファージング自転車を製造し、特に上流階級の顧客に人気があった。後のロードバイクやスポーツバイクの設計にも関わる、名の知れたメーカー。
ハンバー(Humber)
1868年に設立されたイギリスの自転車メーカー。ペニー・ファージングを製造した後、セーフティ自転車や近代的な自転車の開発に移行した。高品質な製品で知られ、幅広いラインナップを持つメーカー。
コヴィントン(Coventry Machinists Company)
イギリスのコヴェントリーを拠点とするメーカー。ペニー・ファージング自転車を量産した最初のメーカーの1つ。広範囲に普及させる役割を担った。技術革新と競争力のある価格設定で、当時の市場をリードした。
ポープ・マニュファクチャリング・カンパニー(Pope Manufacturing Company)
アメリカのメーカーで、ペニー・ファージング型自転車の輸入・製造を行った。創設者のアルバート・ポープは、アメリカにおける自転車産業の発展を推進し、特許管理や市場拡大に大きく貢献した。
その他のメーカー
メーカー名は地域ごとに異なり、多くの中小メーカーが存在していた。特にイギリスとフランスがペニー・ファージング製造の中心地でしたが、アメリカやドイツなどでも製造された。