ブルースハープ

畏兄「昔の少年」氏はいつも忙しい.多趣味で,音楽でも車でも,いろいろなジャンルに詳しいが,特に昔やっていたトランペットをまた始めたいのに,その時間がとれないでいる.そこでせめてものなぐさめにブルース・ハープをおすすめした.

ブルースハープとはブルース・ハーモニカのことで,手の中にすっぽり収まるほど小さく,穴も10箇所しかない.同じ穴を吹く時と吸う時で音程が変わり,半音が出ないかわりに,隣り合った穴を2つ3つ同時に鳴らすと和音になる.半音が出ないので,曲の調に合わせて,全12種類のハーモニカがある.

そのなかで例えば「C」のハーモニカは,いわゆる「ドレミファソラシド」の音しか出ない.これだけなら童謡みたいな曲しかできないが,これを「ラ」の音から,「ラシドレミファソラ」と吹くと,Aから始まる短調(Am)のスケールになり,「G」から始めるとGの長調(GM)のブルース・スケールになる.それに加えて,音の出口を手で覆ったり開いたり,喉をすぼめて息の出入りを絞ったりすると,音程が微妙に変わりブルース独特の渋い音色になる.

氏にはGのブルースハープをおすすめし,バイオリンと相性のいい,DのブルースやEmの曲で合奏しようと持ちかけた.氏からは,いっそ「ストリート・ミュー爺チャン」をやろうと言われている.

次回「楽器と調」(5/14)公開予定
乞うご期待!

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アドリブそしてブルース2

ブルースコード進行は,ロックなどでも使うので,同じAのブルースでもイメージがちょっとずつ違う.コード自体も違う場合もあるが,聴き比べるとブルースが何かがわかるだろう.ちなみにこういう楽器演奏用の伴奏だけの音源を「PLAY ALONG」というらしい.YOUTUBEで曲名と一緒に検索すると,ブルースだけでなく,あよそありとあらゆる曲の伴奏が出てくる.



ブルースはすべての調で演奏するし,マイナーもある.

これはジャズのAマイナーブルースの伴奏.(人物の演奏後に伴奏のみのパートあり)今までのものに比べるとモダンでしっとりした感じだ.が、ジャズの場合は,例えばAの場所なのに敢えて「ラ」の音を入れない和音を使うとか,面倒くさいことをしたがるので,コード進行がつかみにくいかもしれない.
PLAYALONGだけではなく,初心者向けに楽器の持ち方や調律の仕方をなどを解説した動画も多い.こういうものがあるのだから,独学でもいけるんじゃないかと思う.

ブルースはアドリブ入門にもってこいだ.コード進行が頭に入りやすく,これまで聞いたいろいろなブルース曲のフレーズが自然に浮かんでくることもある.何もバイオリンで弾くだけでなく,鼻歌でも楽しいが,ブルースハーモニカ(ブルースハープ)を使うのもいい.はじめからブルースに使う音しか出ないようになっているので,でたらめに吹いていてもそれらしいフレーズになる.しかも,定価で千円以下で手に入る.最近知人にお勧めしたが,あまりの安さに中古ではないかと言われた程だ。もちろんハーモニカに中古なんてないが,ブルース奏者は古いほどいい.若さはじけるイケメンより,白髪頭のくたびれたオヤジが,背中を丸めながら鳴らす音に味があるのだ.

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アドリブ、そしてブルース

弾きやすくてサマになる曲を探し,DやAに移調してから,難しい部分をなるべくアレンジして簡単にしてから練習する.これが私の練習の基本だが,時々アドリブの練習もしている.アドリブは難しいもので,譜面通り弾く以上の技術が必要だと思ってる人も多い.だが,譜面のある曲はどんなに難しくても,その通り弾かなければ曲にならないが,アドリブなら自分のレベルの範囲内で弾いても,それはそれで自分なりのアドリブである.たとえ間違っても,最初からそう弾くつもりだったという顔をしてればいいのだ.(バレバレだけどね)

最近は,あまりアドリブという言い方は聞かない.代わりにインプロヴィゼーションと呼ばれることが多いが,いずれにせよ,「即興」という意味ではない.曲のコードに合った,自分なりのフレーズを弾くことなのだが,別にその場でメロディが湧き上がらなくても,事前に作っておいたフレーズを弾くだけでも,立派なインプロヴィゼーションだ.

とはいえ,良く知ってる曲でもコードが頭に入ってるわけではなく,ましてそれに合わせたフレーズなどおいそれとは出てこないだろう。そういう時はブルースだ.ブルースはごく単純で覚えやすいコード進行の型のことである.「鬱な気分の曲」という意味ではなく,明るいメジャー(長調)のブルースもある.

これはAのブルースの伴奏部分である.コード進行など知らなくても,ああこの感じかと思うはずだ.普通の曲なら,伴奏だけ聞いても何の曲だかわからないくらいだが,ブルースだけはわかる.ニューヨークのハーレム(黒人の多い住宅街)では,若者がジャズを始めるとき,楽器を持ち寄ってコードのルート音(動画中のブルースなら,「ラ,レ,ラ,ラ/レ,レ,ラ,ラ/ミ,レ.ラ,ミ」)だけを,延々とならし続ける.そのうち飽きてきて少しずつオカズ(装飾音)を入れたくなるので,自然にブルースのインプロヴィゼーションが出来上がっていく,という風に練習するそうだ.昔の話だろうけど.

次回「アドリブ,そしてブルース2」(2/27 AM0:01 投稿予定)
乞うご期待!

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