Parker Solar Prove / 5回めの太陽観測データを公開

Parker Solar Proveは、5回目の太陽接近の観測データを、9月から下記の場所で公開している。

NASAの宇宙物理データ施設(SPDF)太陽データ分析センター(SDAC)APLパーカーソーラープローブゲートウェイカリフォルニア大学バークレー校)のサイエンスオペレーションセンター 、プリンストン大学ハーバードスミソニアン天体物理学センター海軍研究所

順調に進んでいるプロジェクトの定時報告なので、ニュース性はないのだが、小さな宇宙船が地球と太陽の間を5回も往復し、そのデータを世界中に一般公開しているのはとんでもないことだなと思う。

パーカー・ソーラー・プローブ / 3度めの金星フライバイへ

これまでで最長機関の太陽観測を実施したパーカー・ソーラー・プローブは、7月11日に、3度目の金星フライバイを行う。

フライバイについて何度目かの説明を。宇宙船が発射される前は、地球が太陽のまわりを公転してることによる遠心力も持っている。そのため発射されると、ちょど振り回していたハンマー投げの手を離すように、外に向かって飛び出してしまう。そこでロケットの推進力で中心の太陽の方に向きを変え、太陽の軌道に乗るのだが、このままだといつまで経っても太陽に近づかないので、金星に近づいた時に重力に引っ張られることで、スピードを削ぎ落として太陽に向かう。もちろんやりすぎれば失速して金星や太陽に落っこちてしまう。

パーカー・ソーラー・プローブはこのあと、太陽に近づいて観測を行うが、地球から見て太陽の反対側なため、一切通信はできない。どんなものでも動画で配信されている現代でも、宇宙船が次に太陽の影から顔を出すまで、NASAの関係者でも想像を巡らして待つほかはない。

パーカーソーラープローブ、5回目の太陽への接近に成功

2020年6月9日、NASAのパーカーソーラープローブは、5回目の太陽近日点への接近に成功した。を、電波ビーコントーンで知らせてきた。宇宙船は2日前に、太陽の表面から1160万マイル以内で飛行し、毎時約244,225マイルの最高速度に達した。これは、パーカーソーラープローブ自身が1月29日の第4軌道で達成した記録と同じく、人工物の最速記録だ。

メリーランド州ローレルにあるジョンズホプキンス応用物理学研究所のミッションコントローラーは、 午後4時40分(EDT)に宇宙船から「ステータスA」のビーコンを受け取った。ステータスAは、4つの可能なステータス信号のうち最良のものであり、宇宙船が動作しており、機器スイートが科学データを収集していることを示している。

パーカーソーラープローブは、6月13日に太陽との遭遇を完了した後、3回目のフライバイのために金星に向かって移動する。金星を使用して軌道エネルギーの一部を放出し、次の軌道で太陽に最接近する。このときの高度は金星の表面から約516マイルで、以前の2回のフライバイよりもはるかに低いが、金星の大気よりもはるかに高い。パーカーソーラープローブは、機動中に、影を通過しながら、短い11分の日食を目撃することになる。

この5回目の太陽軌道で、パーカーソーラープローブはこれまでで最長の観測キャンペーンを行う。過去4回かけて、徐々に近い軌道を通過してきた宇宙船は、5月9日に太陽の表面から6250万マイルの距離でその装置を作動させた。計器は、ミッションの標準的な11日間の遭遇よりも著しく長い6月28日までデータを収集し続ける。
この5回目の観測キャンペーンのデータは、2020年6月下旬から8月中旬の間に地球にダウンリンクされ、2020年11月に一般に公開される予定。