年を取るとだんだん新しいことに適応できなくなる。いまいましい話だが、新しいもの=進化したもの、とは限らない。特に従来の優れたやり方に適応していた場合、新しいが馬鹿げたものに適応できない、したくないのは当然だと思う。
無断で持ってきた画像なので、ご指摘があれば取り下げる
この画像はどこかの駅の自動改札機だ。従来の磁気膜式に、QRコード、非接触センサーなど、いくつもの読み取り口を後からつけたようだ。もし自分がここを通ることになったら、カードをひとつひとつあてがってみるしかないだろう。いつの間に社会はこんな愚かになったのだろう。
システム化というのは機械を導入することではない。まず人間側をシステム化し、その仕組を機械やネットワークに移し替えるべきものだ。ビジネスの世界ではシステム間の競合は厳しい。キャッシュレス・システムでも、最大のシェアを獲得したものが勝ち残り、それ以外は淘汰される。なので改札システムでも、まず条件などで徹底的に競い合い、勝者のシステムだけが採用されるべきだと思う。
そこでアメリカの公共交通の改札を画像検索してみたら、案の定、口は一つだけだった。複数のシステムを受け入れてどの業者にも良い顔をするのも、そのせいで乗客が不便になるのもいいとして、これらの設備の費用やメンテナンス費は誰が払うのだろう。まさか交通事業者ではないと思うが...。
最近熊本県の公営交通が、キャッシュレスカードの利用を廃止し、もともとの磁気面式だけにした。お国が進めるキャッシュレス化に叛旗を翻すのはよほどの決心だが、人口減少でサービス向上が利用憎につながらない時代に、この改札口のようなことをしてられないのだろう。
機械の導入前に人間側をシステム化するというのはわかりにくいかもしれないが、例えば昔からシステム化を進めてきた流通業界では、まずチャネルを構成する企業同士で経営の垂直統合を進めた。そして製造・仕入れの原価や利益を公表しあい、一箇所で集計と利益の配分を行い、全体としてのコスト削減で競争力を生み出した。そのための通信と情報処理にITシステムを使った。
船頭多くして船山に登るというが、デリバリーサービスも、各業者が独自の端末を持ち込むのでやっかいだとあるお店で言っていた。見えないところにも1本化されていない弊害がある。通販サイトを利用するとき、私はできる限り置き配を指定している。再配送は結局自分たちの労力や時間を食うことになるからだが、先日置き配指定したにもかかわらず、不在通知が入っていた。どうやら、最初から配送を請け負っていた業者の入力フォームで指定しても、後から参入した運送会社には細かい情報が行かないらしい。だからといって利用者が業者指定できない。配送条件を指定してもその通りにならない「仕組み」が出来上がっているのだ。おかしなことを効率よく処理しても、おかしなものはおかしい。
そんなことを考えていたら、ダイエーが電子決済カードを整理するらしい、今後はいろいろな業種でその傾向が進むだろう。ただ、上記で流通業のシステム化に触れた手前、コストをかけて売り場で実験する前に気がついてほしかった。