国史教科書

明治天皇の玄孫で作家の竹田恒泰氏が代表を務める「令和書籍」の歴史教科書、「国史教科書」を読んだ。代表者の出自や、何度か検定に通らなかった事で話題になり、一部からは教育の右傾化を懸念する声もあった教科書であるが、通読した感想は「普通」。他の教科書と比べていないので独断だが。

古事記、日本書紀などに関する記述は多い。どの国でも、国の始まりを記述した神話がある。内容は非科学的で偏ったものかもしれないが、それが神話の良いところだ。また、戦前戦中の日本や、戦後の近隣諸国との関係についてもしっかり書かれている。そこが気に入らないという人もいるとは思うが、政府の公式見解を繰り返しているだけなので、あまり思想性は感じない。むしろ、右派から物足りないと言われるのではないかと思うほどだ。

もちろん欠点はあって、よくも悪くも教科書だというところ。事実が淡々と書かれているだけなので、決して面白くはない。特に歴史はそのまま物語になるエピソードの積み重ねだが、面白い部分をわざわざスルーされているような読後感がある。そして分厚く内容は多い。本当に今の中学生はこの内容を覚えて受験しなくてはいけないのかと思うと、気の毒なくらいだ。