アドリブへのアプローチ

楽器を弾くなら、間奏部分は自由にアドリブしてみたい。クラシック指向でないなら、誰でも考えることだろう。そして、主メロ部分がそれなりに弾けるようになると、ただ同じことを繰り返すのはつまらない。誰かが聞いてくれるという場合なら、なおさらくりかえしだけでは申し訳がない。下手でも自分なりの音楽に挑戦してみせ、「おっ!」と言わせてみたい。

そこで、アドリブへの近道と言われる、メロディに合ったコードスケールの練習をしてみた。が、スケールが弾けるようになっても、自分なりのフレーズが浮かんでこないのだ。まるで、原曲とは別の「スケール」という名前の新しい曲を練習しているような気分なのである。複雑なモダンジャズのスケールならなおさらである。情けない話だが、練習の量だけでは乗り越えられない、質的な壁があるように思えてならない。

次に考えたのは、間奏部分も主メロの繰り返しでいいから、ちょっとだけ装飾音を加えたりテンポを変えてみようと考えた。すると、割りといろいろなパターンが作り出せることに気がついた。特に、小節ごとの最初の音は主メロの音以外を使おうとすると、混乱して手が止まってしまったのだが、主メロと同じでいいやと居直ったら、比較的容易に装飾音をつけたりテンポをくずしたりできるようになった。また、それだけのことが面白いと感じられるようになった。なにも難しいことを我慢して繰り返すだけでなく、どんどん妥協して目標を下げていっても、新しい楽しさを発見できるのだ。