アベノマスクの効用

もう年末だというのに昨年の話題で恐縮だが、アベノマスクはなかなかの妙手だったと思っている。広告の世界では、モノを売ることや人を呼ぶことはできるが、考え方を変えさせることは難しいとされている。今でこそ感染がおさまっても多くの人がマスクをしているが、当時はまだまだ軽く考えていた人が多かったように思う。

そんな中での、単純明快なマスクの配布である。配布直後は1,2枚もらったところでどうなるとか、無駄遣いであるとか、反発も大きかったが、その反発が重要な点だ。さらに当時はマスク自体が品薄であり、あっても値段が高かったりしたが、そのことに批判が集まったのも良かった。マスク国民の目が一斉にマスクに注目したわけで、普通に売られ始めたら即買おうと待ち構えるようになった。

当時は、その後の感染のピークと比べればまだまだ序の口のようなもので、現実的には周囲で感染者が出たというケースはごくまれだったと思う。そのままでいたら気の緩みも起こるだろうし、コロナおそるるに足らずというようなデマが流布したかもしれない。そんな中で、ちょっと単純すぎるようなマスク配布によって、少なくとも政府が本気で国民にマスクを着けさせたがっていることだけは伝わった。従来のメディアによる広報活動だけで、同じ効果を得られたかどうかは疑問だ。

アベノマスクは、いわば国による一億人試供品キャンペーンのようなものだったと思う。販売促進にはいろいろな手法があるが、試供品や試食は特にコストがかさむ手法だ。そこで大規模な市場を狙う企業では、費用対効果の高いTVなどが販売促進の主流になる。過去に1億人に試供品を提供した企業など記憶にない。

去年の話を振り返っていられるのも、世界中で日本だけ感染者が激減させている安心感からだが、なんとかこの状態が続いてくれるよう、マスクは着け続けようと思う。

2 thoughts on “アベノマスクの効用

  • 12月 14, 2021 at 11:22
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    マスクのもう一つの効用は、女性にとってはさほど化粧せずに済む事。高齢者にとっては、シミやシワ隠しになること。肝心の感染予防の為だけでなく、率先して着用したくなる理由も手伝って今や着用は常態化していますね。夏には暑さで苦しいのではと考えましたが、何とか乗り切れました。ただ運動などでは呼吸も苦しくなりますからどうしても外したくなりますね。雪も降りだしてマスクは口元の寒さ凌ぎにもなりますが、眼鏡を掛けている私は、この季節、隙間から漏れる息で眼鏡が曇って困る事も多いのも事実ですね。

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    • 12月 14, 2021 at 12:43
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      一日中マスクをつけるようになって、最初は息苦しかったですが、慣れました。以前、陸上競技の選手が低酸素トレーニングと称して、マスクをつけて練習する光景を見ましたが、同じ用に肺活量が増えたかもしれませんね。

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