CGでキャラクターを作った。キャラクターはCGの定番ジャンルなので、自分でも何度か挑戦しているのだが、相変わらず顔が作れない。もう少し”人となり”が伝わる造りや表情にしたいのだが、ゆるキャラ風に逃げてしまった。顔というのは難しいもので、人間は普段から他人の感情を読み取りながら生きているので、ちょっとした顔色の違いにも敏感だ。能面師の方から聞いた話だが、ほんの紙一枚分削ったかどうかで表情がまるで違ってしまうのだそうだ。ということで顔は大変に難しいのである。OLDBADBOY先生の次回作にご期待ください...。
ところで、キャラクターがつけているジャバラ襟の資料を探した時のこと。フランシスコ・ザビエルの肖像画についてたと思って検索したが、違った。ではシェイクスピアの勘違いかと思ったが、これもはずれ。どちらも普通のちょっと大きめの襟だった。強いて言えばエリザベス一世や、天正遣欧少年使節にはそれらしい襟がついているのだが、探している画像ではない。
自分の頭の中には、ひげをはやしてジャバラ襟の服を着た男性の肖像画が、かなりはっきり思い浮かんでいるのだが、もしかしたら妄想なのかもしれない。これもまた歳のせいかと少々心配になったが、ザビエルと言えばジャバラ襟と思い込んでいる人は他にも多いらしく、そういうイラストがたくさん出てきてちょっと安心した。
絶えず新しい事に挑戦する貴殿に感心しきりです。顔は難しいのでしょうね。蛇腹の襟ですが、私は最初に天草四郎を連想しました。襞襟(ヒダエリ)と言うらしいです。ヨーロッパで16世紀半ばから17世紀初めころまで王侯貴族や富裕層の間で流行したファッションの様ですね。シャツから取り外すことができ、頻繁に取り替えて上着の襟元と肌やひげなどが直接触れる部分の清潔さを保つ目的で、洗濯糊の発見とともに長い襞襟の形を保たせることができるようになり、次第にその大きさや仕上げの精巧さが競われるようになったようです。半径数十センチにもなる蛇腹状の円盤が首を覆う様なものもあり、針金の枠を必要とするものもあったそうです。糊付けの際に黄色、ピンク色、薄紫に着色することもあったようです。当時は男女両方とも襞襟をつけ、なんと富裕層の子供たちも着用したようですね。
ネットで確かめたら、確かに天草四郎は襞襟でしたね。どこかのカステラの箱にも、襞襟の南蛮人が書いてあったような気がします。このキャラクターの格好はジェスターと呼ばれ、本当は襞襟がなかった時代の王宮道化師なので、ちょっとインチキなのですが、雰囲気作りにはぴったりでした。今回のCGでは、それまでできなかった一枚の平面の裏表を違う色にするテクを覚えるのがテーマで、襞襟の部分で使っているのですが、あまり目立ってませんね。