サンフランシスコ1906

1906年のサンフランシスコの中心部。古い映画フィルムは、再生レートの違いで早回しになってしまうものが多いが、これは実際の速度に近づけるよう編集したものらしい。路上は自動車、馬車、歩行者、そしてケーブルカーが入り乱れて通行している。

そう、ケーブルカーである。これは現地で今も残る現物を見た方には常識なのだろうが、電車ではない。だからいくら探してもパンタグラフも架線もなかった。ケーブルカーといえばゴンドラを吊るすものしか思い浮かばないのだが、一方「サンフランシスコのケーブルカー」については名前くらいは知っていて、写真等で見てもいる。よく考えると不思議に思わなければならなかったのだが。

サンフランシスコのケーブルカーは、路面に這わせたケーブルが常時動いていて、運転手は車両の下の「グリップ」を操作し、動き出すときにケーブルをつかんで、停止のときに離す。今回始めて知って、驚いた。どこで、どんな動力で街中のケーブルを引っ張っているのか、どこかで断線したら、全線不通になるのか。興味のつきないシステムだ。

そして、この時代には信号がない。調べてみると、初めて電気式の信号が設置されたのは、1914年8月8日、オハイオ州クリーブランドで、黄色が加えられた3色灯式信号機は、1918年のニューヨークが最初だそうだ。発明したのはアフリカ系アメリカ人のギャレット・モーガンである。
余談だが、モーガンの祖父は元奴隷(!)で、南北戦争で南軍の(!)大佐として活躍した、ジョン・ハント・モーガン。母親もインディアンとの混血の奴隷だったという。モーガン一家の映画ができそうだ。アメリカの歴史もなかなか奥深いと思う。

2 thoughts on “サンフランシスコ1906

  • 8月 22, 2021 at 16:08
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    ケーブルカーの事は薄々知ってはいましたが、まさか?そんなシステムだったとは知りませんでした。いろんな発想があるんですね。

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    • 8月 22, 2021 at 19:19
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      ケーブルカーの車体には、ケーブルをつかむ仕組みだけで、動力はないんじゃないでしょうか。スピードが遅いからなんとかなるのかもしれませんが、人と車と馬車が入り混じっていて、非常に危なっかしいですね。

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