スパゲティ・アサシーナ(暗殺者のスパゲティ)

最近見かけるようになった、ちょっと変わった作り方のスパゲティ。イタリアの動画でいくつか紹介されており、今年に入ってからアップしたものが多いので、新しい技法なのかもしれない。「暗殺者風」という名前さながらに乱暴な作り方のようも思うが、米の代わりにスパゲティを使っただけで、リゾットの作り方と同じだから、珍メニューというほどではないのだろう。焦げを味わうというのも、パエリャのようだ。

試してみたが、悪くなかった。ポモドーロ(トマトソース)とも違って、コッテリしていながらヘルシーな素材ばかりなので、私のように年甲斐もなく口だけいやしい高齢者にはぴったりだ。スパゲティがソースに浸かってない部分があっても、最後にはちゃんと柔らかく仕上がる。むしろ気にして絶えずかき回していると、せっかくのコゲができない。今回使ったのは1.6ミリのスパゲティだが、ソースの濃さに合うもっと太いものでも問題なさそうだ。
他のレシピでも、最初のソースがトマトのピューレで、トマトペーストを溶いた水を足しながら茹でていたが、これは400gのトマトホール缶1個の実のほうをソースに、ジュース部分に水を足したものでスパゲティ2人前(200g)でも問題なかった。ただしトマト缶は安いものは酸味が強いので、(其れが悪いとは思わないけど)好みで選んだほうがいいかもしれない。

問題は鍋である。動画では良いコゲのできやすい鉄のフライパンを浸かっていたが、トマトのような酸のあるソースを煮詰めると、せっかく表面にできた四酸化三鉄(黒錆)のコーティングが溶けて、銀ピカになってしまうこともある。とはいえこれは偏見だが、テフロンだと煮えたようになって良い焦げ目ができにくい。ホーロー引きの鋳物鍋があれば一番いいだろう。
鍋のサイズも問題で、スパゲティの全長が入るものはないかもしれない。私もやむなく2ツ折にしたが、これはイタリア人にとって、日本人が畳の上を靴で歩いてるのを見るのと同じくらい不快なものだそうだから、周囲にイタリア人がいないことを確かめてからやった。

アサシーナ(暗殺者風)という名前がすごい。血まみれのような見た目からだろうか。「アサシン」は中東の伝説の暗殺者集団が語源だそうで、「仕事」に赴くときに大麻を吸ったことから、ハシシュも同じ語源だ。この他にもパスタ料理にはディアボロ(悪魔風)、ブッタネスカ(娼婦風)など、なぜか罰当たりな感じの名前が多い。聖者や聖職者というような、まっとうな名前はないのかと思ったら、Strozzapreti(ストロッツァプレティ/司祭の暗殺者)という名前のショートパスタがあった。そういう国民性なのだろうか。

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